がんの治療

最終編集日:2022/1/28

概要

がんに対する研究は日々世界中で進められていて、いろいろなアプローチから新しい手術法が生み出されています。がんの治療には、がんの種類、できた部位、進行度合いなどにあわせたさまざまな方法がありますが、現在はがん三大療法といわれる「手術療法」「化学療法」「放射線療法」に加えて「免疫療法」などの新しい治療法も始められ、成果を上げています。
治療法は、がんの大きさと状態、リンパ節転移の有無、最初にできた部位から離れた場所への遠隔転移の有無などを考慮して決められます。
またこれらの療法は単独で行われることもありますが、「手術療法と化学療法」「化学療法と放射線療法」「手術療法と放射線療法」というふうに組みあわせて行われるケースが増えています。集学的治療と呼ばれ、今はふつうに行われています。
患者さんと医師がじっくり相談をして、いちばんよいと考えられる治療法を選択することになります。

手術療法

手術療法はがん自体やがんが発症した臓器や部位を手術によって取り除く治療法です。がんの細胞は周囲の組織に広がったり、そのほかの臓器や部位に転移したりすることがあるため、通常はがんを含む周囲を大きめに切除するケースがほとんどです。
臓器を切除することでからだの機能が著しく失われてしまう場合は、機能回復のための再建手術をすることもあります。
以前はからだを大きく切り開いて行う方法が主流でしたが、現在は部位や病状によって縮小手術や機能温存手術など、手術後の患者のQOLを重要視して行うケースが増えています。
からだの負担が少ない内視鏡や腹腔鏡を使った手術やロボット支援下で行う手術など、新しい手法も次々に生みだされています。

化学療法

抗がん剤を使ってがんを死滅させたり、小さくしたりする治療法が化学療法です。薬物療法と呼ばれることもあります。
化学療法は、使う薬剤の種類で「化学療法」「内分泌療法(ホルモン療法)」「分子標的療法」などと分けられることもあります。
化学療法に使われる薬剤は、細胞が増殖するしくみを利用して、がん細胞が増殖できないようにします。この働きによって、がん細胞を死滅へと追い込みます。
ただし抗がん剤は、治療効果に伴って副作用を起こすことがあり、治療後の生活に大きな影響を与えてしまうことがあります。
おもな副作用は、脱毛、吐き気、食欲不振、下痢、便秘、味覚障害、免疫力の低下によって感染症にかかりやすくなるなどです。現在は、副作用が少ない薬剤の開発も進められています。
化学療法は単独で行われることもありますが、多くのケースでは手術療法や放射線療法などと併用して行われます。
その応用例として、例えば手術前に腫瘍をできるだけ小さくする、術後に取り切れなかったがん細胞を死滅させ再発を予防するなどのケースがあります。

放射線療法

がんに放射線を照射して、がん細胞のDNAを壊し、がん細胞を死滅させるという治療法が放射線療法です。
放射線には部位や状態にあわせてアルファ線、ベータ線、エックス線、ガンマ線などの種類があります。最近では、中性子や陽子線など重粒子線を使った方法も開発されてきました。
放射線治療の方法は、体外から放射線をあてる外部照射が一般的で、照射中に痛みはありません。がんの種類によっては、放射性物質を体内に挿入したり、飲み薬や注射で投与したりする治療法もあります。これを内部照射といいます。
放射線療法もほかの治療法と並行して行われるケースが多くみられます。また手術前に腫瘍をできるだけ小さくする、術後に取り切れなかったがん細胞を死滅させ、再発を予防するなどの目的で行われることもあります。
放射線はがん細胞に対するものですが、周囲の正常な細胞組織にも影響を与えます。ただし正常な細胞組織は、がん細胞ほど放射線の影響を強く受けないと考えられています。副作用には、放射線が照射された部位のやけどのような皮膚変化をはじめ、疲労感、食欲不振、貧血、免疫力の低下によって感染症にかかりやすくなる、出血しやすくなるなどがあります。

ホルモン療法

人のからだのなかにはいろいろなホルモンが分泌されています。なかにはがん細胞の増殖に影響を及ぼしているホルモンも存在します。
ホルモン療法は化学療法のひとつで、ホルモンに依存するがんに対して用いられます。おもに乳がんや前立腺がんなどの治療で使われ、がんの成長に作用するホルモンの分泌を抑える治療法です。
乳がんでは、エストロゲンというホルモンががん細胞の増殖に影響を与えていることがあるため、エストロゲンの働きや生成を阻害し、がん細胞の増殖を抑えるホルモン剤を使うことでがんの成長を抑えるのです。副作用には、ほてりや発汗の症状や関節痛などがあります。
前立腺がんでは、がん細胞が男性ホルモンの影響を受けていることから男性ホルモンの分泌を抑えるホルモン剤を使います。副作用には、ほてり、発汗、頭痛、貧血、骨粗鬆症、性欲減退、勃起障害、女性化乳房、精巣萎縮、うつ傾向などがあります。

免疫療法

人のからだにもともと備わっている免疫力を活性化させることで、がん細胞を小さくしたり、死滅させたりする治療法が免疫療法です。比較的新しい手法の治療法で、注目されています。
免疫療法には、体内から取りだした免疫細胞を培養しがんを撃退する力(免疫力)をアップさせ、それをからだに戻して行う治療法や、がん細胞が自らの増殖の邪魔をする免疫細胞にブレーキをかけることで免疫力を低下させていることに着目し、そのブレーキを外して、もともとの免疫力を発揮できるようにする治療法(免疫チェックポイント阻害治療と呼ばれるもので、日本人が開発)など、さまざまな治療法があります。
ただし研究段階の治療法も多く、治療効果や安全性が科学的に証明された治療法と、証明されていない治療法が混在しています。免疫療法を選択するときには担当医の説明をきちんと理解し、加えてセカンドオピニオンを行うなど十分な注意が必要です。

分子標的薬療法

分子標的薬は化学療法で使われる薬剤のひとつで、がん細胞に多くみられるたんぱく質や、がん細胞の増殖に関係するたんぱく質などをピンポイントに標的にしてがん細胞を攻撃する薬剤です。
標的とする遺伝子やたんぱく質が分子レベルでわかるようになった結果、生まれたのが分子標的薬で、これを使う治療法が分子標的薬療法です。
分子標的薬にはがん細胞を攻撃するだけでなく、がん細胞に栄養を運ぶために新たに血管がつくられることを邪魔する作用をもつ薬剤もあります。
がん細胞の特定のたんぱく質を標的に狙い撃ちするため、正常な細胞への影響は少なく、従来の抗がん剤にくらべて副作用が少ないと考えられています。

監修

寺下医学事務所医学博士

寺下謙三

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