梅毒

ばいどく

最終編集日:2023/3/27

概要

「梅毒トレポネーマ」という細菌によって起こる感染症です。日本では1948年に22万人の感染者がいましたが、治療薬の向上などによって患者数は減り、1990年代には年間1000人を下回っていました。しかし2010年以降は再び増加傾向にあり、2022年は全国で約1万3000例と、1999年に感染症法に基づく調査が始まって以降、最多となりました。

原因

梅毒トレポネーマは低酸素の状態でしか生存できず、感染者との性行為が感染原因の大部分を占めます。性行為による性器同士の接触のほか、口やのどからの感染もあるため、キスやオーラルセックスでも感染します。感染者が妊娠した場合、胎盤を通じて胎児に感染することがあり、死産や早産などの原因になります。子どもに発達の遅れや障害がみられることもあり、これは母子感染による「先天梅毒」といわれています。

症状

梅毒は症状が軽く済むことも多く、また一度症状が出ても自然に治まってしまうこともあります。そのため発見が難しく、偽装の達人とも呼ばれる感染症です。感染から3週間後に症状が現れることが多く、症状に応じて3期に分かれます。


●第1期・最初の潜伏期間

感染から3週間ほどで陰部や肛門、口の中などの粘膜に腫れやしこり、ただれなどが出ます。ほとんどの場合痛みはなく、とくに治療をしなくても2~3週間程度で自然に消失します。痛みやかゆみがない場合も多く、症状がまったく現れない人もいます。

●第2期・感染から3カ月以降

無治療のまま3カ月ほど経過すると、さまざまな症状が現れます。代表的なものとして手の平や足の裏、からだ全体に赤い発疹が出るといった症状が挙げられます。赤い発疹の様子が小さなバラに似ていることから「バラ疹」と呼ばれます。梅毒性脱毛、扁平コンジローマ、梅毒性粘膜疹という発疹が出ることもあります。発疹以外に発熱や頭痛などの症状を伴うこともあります。3カ月から数年にわたってこのような症状が出現したり消失したりをくり返します。

●第3期・感染から3年以降

治療をせずに症状が進行した場合、皮膚だけでなくさまざまな臓器に影響が出ます。皮膚、筋肉、骨、肝臓、腎臓などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)ができて、周りの細胞を破壊します。激しい腹痛や嘔吐、心臓や神経の障害などが起こり、死に至ることもあります。


検査・診断

医師による診察と、少量の血液を採取する「血液検査」が一般的です。自治体の保健所や検査所では基本的に匿名・無料でHIV検査と一緒に受けることができます。しかし、抗体検査が確実に陽性になるのは感染が疑われる日から約6週間後なので、たとえ感染していても感染直後の検査では陰性になる場合もあります。そのため間をあけて再検査を受けるのがよいでしょう。

治療

1カ月間ペニシリン系抗菌薬を内服することが基本です。今まではほぼ内服のみでの治療でしたが、感染急増に対応すべく、2022年にペニシリン系抗菌薬の筋肉注射による治療が認められるようになりました。この注射を打った場合は、基本的に1回で治療が終わります。このように、現在は確実な治療薬がありますが、症状が進んだ段階では障害を受けた臓器に後遺症が残ることがあります。

セルフケア

予防

感染部位と皮膚や粘膜が直接触れ合わないよう性行為の際にはコンドームを使うことが推奨されます。またもし感染がわかった場合は、自分だけでなくパートナーにも検査を受けてもらい、陽性の場合は一緒に治療を受けることをおすすめします。

一度梅毒にかかったからといって免疫はできないため、何度でも感染する可能性があります。梅毒にかからないよう、そして知らぬ間にほかの人にうつさないよう細心の注意を払いましょう。


監修

関東中央病院 皮膚科 部長

鑑慎司

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