性器クラミジアせいきくらみじあ
最終編集日:2022/4/5
概要
性行為を通じて感染する病気です。
多くは軽症、もしくは自覚症状が現れないため気づかないこともあります。症状が進行すると、男性、女性ともに不妊症が生じたり、とくに妊婦が感染すると、流産や早産の原因になることがあります。また治療しないまま経腟分娩をすると胎児が産道を通る際に感染して、結膜炎や肺炎を起こす可能性もあります。
妊娠中に感染しても出産までに治療を終えれば胎児への感染は防げるため、30週頃までに検査を受けておくことが大切です。
原因
クラミジア・トラコマチスという病原菌が尿道、咽頭、子宮頸管などの粘膜に侵入し発症する性感染症です。
症状
性器クラミジアは、感染しても自覚症状がない場合が多く、感染に気づかないこともあります。現れる症状は男性と女性では異なります。
男性の場合、感染からおよそ1~3週間で尿道炎が起こります。症状は比較的軽く、尿道のむずがゆさや排尿時の痛みなどが現れます。病気が進行すると、クラミジアが精巣上体にまで到達し、精巣上体炎を起こし、陰嚢の痛みや発熱、さらには男性不妊症などの要因ともなります。
女性の場合も、感染から1~3週間で子宮頸管に炎症が起こりますが、まったく症状が出ないこともあります。症状が出ても、おりものの増加、不正出血(月経以外の出血のこと)、下腹部の痛み、性交痛など比較的軽い症状のため、クラミジア感染と気づかないこともあります。進行すると、卵管炎、骨盤内炎、肝周囲炎などを起こし、子宮外妊娠や不妊症の原因となることがあります。自覚症状がなくても、妊娠中の感染は流産や早産、産道感染のリスクが高まります。
検査・診断
症状が軽く、あるいはまったく出ない場合もあるので、気づきにくい病気です。
診断を確定するには検査を行い、病原体の有無を確認します。尿や尿道からの分泌液、おりもの、咽頭の粘膜から採取した体液などを使って、遺伝子などを調べて診断を行います。
妊婦の場合、何も症状はなくても胎児の感染予防のために、遅くても30週頃までにはクラミジア検査を受けることが大切です。
治療
性器クラミジアは、抗菌薬で治療を行います。医師から指示された服薬の期間を守らないと菌が残ってしまうことがあるため、注意が必要です。また、クラミジアはパートナー間でお互いに感染をくり返す「ピンポン感染」が起きるため、パートナーの治療を同時に行うことも重要です。
妊婦の治療では、胎児に影響のないアジスロマイシンやクラリスロマイシンなどの抗菌薬を使用します。
性器クラミジアが治癒したかどうかの判断は、抗菌薬の服用後、2~3週間後の検査で、病原体の消失を確認して行います。
最初の検査から治療が終わるまで1カ月程度かかりますので、クラミジアの検査は妊娠30週までに行うようにしましょう。
セルフケア
療養中
妊娠中にクラミジア感染が発覚した場合は、パートナーもクラミジアに感染している可能性があります。女性だけが治療をして完治させても再感染のリスクは避けられません。胎児を守るためにもパートナーも一緒に治療を行いましょう。
妊娠中の性行為では、感染予防のためコンドームを使用しましょう。
監修
JR東京総合病院 産婦人科 医長
松浦宏美
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