淋菌感染症(淋病)りんきんかんせんしょう・りんびょう
最終編集日:2023/3/27
概要
淋菌という細菌に感染することで起こる性感染症です。クラミジアに次いで多い性感染症で、国内の感染者は近年、20代を中心とした若年層で増加傾向にあり、予断を許さない状況です。最近の疫学的研究によると、淋菌感染によってHIV の感染が容易になるという報告もあります。
原因
おもに性交(オーラルセックス、アナルセックスを含む)により、感染が広がります。淋菌は尿道や口の中、肛門、目の結膜などでも増殖するので、だれでも罹患する可能性があります。
症状
男性と女性で現れる症状が異なります。男性の場合、感染後2~5日ほどで尿道に軽いかゆみや熱っぽさを感じます。尿道から黄色いうみや分泌物が出たり、排尿の際にペニスの先端が痛んだりすることがあります。治療せず放置すると炎症が慢性化して尿道が狭くなり、排尿しにくくなることもあります。女性の場合、たとえ感染しても無症状か、症状があっても軽いことが多く、感染に気づかないことも珍しくありません。気づかぬうちに進行すると、子宮頸管炎となり、下腹部痛、性交痛、発熱のほか不妊の原因となることもあります。また出産時に母体から赤ちゃんに感染し、失明をもたらすことや命にかかわる状態に陥ることもあります。
また、性器に淋菌が感染している人の10~30%で口腔内にも菌が認められるとの報告があります。男女ともに咽頭や直腸に感染した場合は、むずむずした不快感、痛みや出血などがあります。
検査・診断
尿、尿道からの分泌液やおりもの、咽頭うがい液などで検査を行います。女性は子宮頸管からの分泌物の検査も行います。少しでも症状があるときや、パートナーが変わったとき、複数の人と性交渉があった場合は、検査を受けることをおすすめします。性感染症は性病科や皮膚科、男性であれば泌尿器科、女性であれば婦人科などでも診療しています。
治療
通常、抗生物質で治療を行いますが、近年、性感染症において、抗生物質に対する耐性が増加し、治療の選択肢が少なくなっています。なかでも淋病では、抗生物質に耐性を示す多剤耐性淋菌株が検出されており、治療がむずかしくなっています。
セルフケア
予防
正しくコンドームを使用し、性器および口腔粘膜と体液が直接接触しないようにすることで、感染のリスクを減らすことができます。性行為の回数などに関係なく、だれもが感染する可能性があるため、気になる症状があるときは、早めに医療機関を受診しましょう。淋菌感染症は自分が治ってもパートナーが感染したままであれば、性行為などを通じて再び感染します。診断された人だけでなく、パートナーとともに検査、治療を行うことが大切です。
監修
小山嵩夫クリニック 院長
小山嵩夫
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