爪白癬つめはくせん
最終編集日:2022/5/11
概要
爪白癬の原因は真菌(カビ)の一種である白癬菌です。爪白癬のことを爪水虫ともいいます。足白癬(あしはくせん:水虫)を放置することで、白癬菌が爪に感染して起こる真菌感染症です。爪が白色や黄色に濁り、しだいに厚くなります。足の爪に多くみられますが、手の爪に起こることもあります。
通常、痛みやかゆみはありませんが、爪の肥厚(ひこう)によって、靴を履くときに歩きにくくなったりします。
治療はおもに飲み薬(抗真菌薬)が使われます。軽症ならば爪外用液を用いることもあります。足白癬から爪白癬に移行すると、完治までには数カ月以上かかります。
原因
足白癬を治療せずに放置することで、白癬菌が皮膚から爪に侵入し増殖して、爪白癬を発症します。その一方で、足白癬がないのに爪白癬になる場合もあります。
症状
爪の色が、先端や横の部分から白色や黄色に濁ります。やがて爪が厚くなって、先端からボロボロと欠けていきます。通常、痛みやかゆみはありません。爪の肥厚によって、靴をはくときに痛んだり、歩きにくくなったりします。
検査・診断
爪の一部を採取して顕微鏡検査を行います。
検査では、爪切りなどで爪の色が白濁した部分の爪や角質を採取します。顕微鏡で白癬菌を確認できれば、診断が確定します。場合によっては培養検査を行うこともあります。
治療
一般的に、テルビナフィン、イトラコナゾール、ホスラブコナゾールといった抗真菌薬(飲み薬)による治療が行われます。少なくとも3カ月は内服するため、副作用などによる体調の変化がないか、定期的に血液検査を行います。
軽症ならばエフィナコナゾールやルリコナゾールの爪外用液(塗り薬)が使われることもあります。
セルフケア
療養中
抗真菌薬の内服や外用薬によってきれいな爪が生えてくると、一見、治ったように見えますが、実際には完治しておらず白癬菌も残っていることがあります。自己判断で治療を中止してはいけません。処方された薬は医師の指示どおりに使用して治療を継続しましょう。
予防
白癬菌は高温多湿の環境を好むため、予防には部屋の風通しをよくする、足を清潔にする、足を湿ったままにしない、蒸れやすい靴を長時間はきつづけないなど、日常生活で意識をしましょう。
家庭内での感染が多いことも爪白癬の特徴です。足白癬や爪白癬がある家族とバスマットやスリッパを共用することは避けましょう。また、足白癬や爪白癬の症状がみられたらすぐに治療することが大切です。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑慎司
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