ADHD(注意欠如・多動症)えーでぃーえいちでぃー ちゅういけっかん・たどうしょう
最終編集日:2022/4/1
概要
何かひとつのことに集中するのがむずかしかったり、落ち着きがなかったり、衝動的に行動してしまうなど、日常生活に支障をきたす発達障害のひとつのタイプです。
長い間、子どもの病気としてとらえられてきましたが、近年は、成人になって社会のなかで困難に直面し、この病気だったことに気がつくケースも増えています。
原因
原因は明らかになっていませんが、遺伝的なものや脳の障害などが関連しているのではないかと考えられています。
症状
●不注意
集中力がつづかない、ミスが多い、うわの空になりやすい、物をなくしてしまう、物を置き忘れてしまう、時間の管理ができない、物事を最後までやり切れない、やらないといけないことを先延ばしにしてしまう、などの「不注意」といわれる症状がみられます。
●多動性・衝動性
学校の授業中などで椅子にじっと座っていることができない、静かにしていられない、待つことが苦手でほかの人のじゃまをしてしまうなど、多動性・衝動性も大きな特徴です。
検査・診断
診断には不注意や多動性・衝動性を確認するために、本人や保護者に問診を行い、どんな症状があるのか、症状があればその症状の強さなどを確認していきます。症状が小さい頃から典型的に現れていた場合は、薬物療法(薬による治療)を中心とするとか、それほど典型的でない場合は環境調整を中心とするかなどの判断に役立ちます。
脳腫瘍や脳の血管の病気、てんかんなどの病気でも同様の症状がみられることがあることから、鑑別のため頭部画像検査や脳波検査などを行うこともあります。
治療
カウンセリングと薬の服用がおもな治療です。
ADHDの特徴的な行動をコントロールして、学校や社会のなかで適切な行動を行えるように、まず本人や周りの人たちがこの病気をよく理解し、その特性と上手なつき合い方を考えて、一つひとつ丁寧に本人をサポートしていくことが重要です。子どもの場合には、保護者が接し方を学ぶトレーニングなどもあります。
また、本人が生活しやすい社会環境を調整してつくっていくことも必要です。
薬による治療では、抗ADHD薬のほか、診断結果に応じて抗うつ薬、気分安定薬や抗精神病薬などが処方されます。
セルフケア
療養中
ADHDのある人は、失敗が多く周囲から孤立しがちで自己評価が低い傾向にあります。それが原因でうつなど二次的な病気を発症することもあります。
周りの人ができる環境整備として、否定的な声かけをせずにプラスの特徴(新しいことに興味を示し、ユニークな発想で提案することができるなど)にも目を向けて、自尊心を高めてあげることが大切です。
監修
赤坂溜池クリニック 院長
降矢英成
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