慢性前立腺炎

まんせいぜんりつせんえん

最終編集日:2022/3/31

概要

慢性前立腺炎は、下腹部や、陰嚢と肛門の間にある会陰部に痛みや不快感があり、頻尿、残尿感などの排尿障害がつづく病気です。通常は不快な程度で日常生活に支障がないことも多く、急性前立腺炎のような激しい炎症や発熱はみられません。

検査により感染と炎症が確認できることもありますが、特定の検査所見を示さず、症状のみがつづく場合も多く、こうしたケースは慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)と呼ばれます。

慢性前立腺炎の原因ははっきりしていませんが、骨盤内の血流障害による臓器の慢性炎症とも考えられており、長時間にわたって座位姿勢をとるデスクワークや自動車の運転などとの関連が指摘されています。

30~40歳代の若い世代に多くみられ、確立された治療法がないため、長期的な治療が必要になることもあります。


原因

前立腺は男性だけがもつ生殖器で、膀胱の下にあるクルミくらいの大きさの臓器です。精液の液体成分の一部を分泌しており、これは精子の活性化に関係しているといわれます。

慢性前立腺炎の原因には、細菌感染による急性前立腺炎が慢性化したものや、徐々に進行する細菌性の前立腺炎もありますが、はっきりしたことはわかっていません。デスクワークや自動車の運転など、長時間の座位姿勢によって血流が悪くなることが関係しているのではないかと考えられています。このほか、自転車やバイクなどに乗って前立腺をひんぱんに刺激することや、飲酒や精神的なストレス、疲労、下半身の冷えなどによる抵抗力の低下なども要因とされています。


症状

慢性前立腺炎は、下半身にさまざまな症状が現れます。陰嚢と肛門の間の会陰部や、下腹部から足の付け根である鼠径部、陰嚢、尿道などの痛みや不快感のほか、残尿感や頻尿、尿もれ、排尿痛、尿道の違和感などの排尿症状も多く、さらに射精時に痛みなどを伴うこともあり、症状は多岐にわたります。

ただし、いずれも強い症状ではなく、多くは何となく感じるあいまいな程度で、発熱もありません。自覚症状はあっても前立腺には炎症がみられない場合が多い一方で、明らかに炎症があるにもかかわらず、自覚症状がないケースもあります。


検査・診断

まず、問診で自覚症状について確認します。つづいて肛門から指を挿入して、肛門直上で前立腺を触診する直腸診を行い、腫れや圧痛の有無などを調べます。正常の場合は前立腺に痛みを感じることはありませんが、慢性前立腺炎の場合は圧痛があることが多いです。

尿検査で炎症反応の有無を確認し、尿細菌培養検査で細菌感染がないかを確認します。似た症状の疾患として、尿路結石や膀胱炎、慢性細菌性前立腺炎などの尿路感染症、膀胱がん、性感染症などがあるため、必要に応じてそれらを除外するための検査も行うこともあります。


治療

治療は薬を使った治療が中心で、抗生物質、植物製剤、漢方薬などを用います。排尿痛や頻尿など排尿症状がある場合は、前立腺部の尿道抵抗をとるα1ブロッカーを使うこともあり、クラミジア菌への感染による場合は、抗菌剤を使用します。

原因がはっきりしている急性前立腺炎にくらべ、慢性前立腺炎は症状が完全に治まらずに治療が数カ月間に及ぶケースが多く、治癒・再燃をくり返すこともあります。

症状が改善しない場合は根気よく治療することが必要になることもあり、薬を変えたり、複数の薬を組み合わせたりするなどで対応します。筋肉弛緩剤や精神安定剤などが効果的なこともあります。


セルフケア

療養中

慢性前立腺炎は、治療を受けても症状が持続し、改善までは長期間を要することもあります。そのため、次々に違う医療機関を受診する、いわゆる「ドクターショッピング」に陥りやすくなりますが、医療機関による治療方法の違いはほとんどありません。長い目で症状とつき合っていくことも大切です。

病後

前立腺炎があると精液の成分が変化し、精子の運動能が低下して不妊症の原因になることがありますが。しかし、精子自体には異常は起きないので、妊娠しても胎児に影響が出る心配はありません。

また、再発予防として、デスクワークや車の運転の際は1~2時間ごとに休みを入れ、立って歩くようにしましょう。自転車やバイクへの乗車はできるだけ避けます。

疲れやストレスをためないようにして、飲酒は控え、下半身を冷やさないように気をつけることが大切です。


監修

なかむらそうクリニック 院長

中村聡

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