前立腺炎の診断が前立腺がんである可能性は?
1週間くらい前からトイレが近くなり、泌尿器科へ行ったら、前立腺炎といわれました。尿の出が少し悪くなったようで気になっています。30代で前立腺がんになる可能性はあるのでしょうか?
男性/30代
2022/05/31
前立腺は膀胱の下にあって栗の実のような形をしており、尿道を取り巻いています。前立腺が何らかの原因によって炎症を起こすのが前立腺炎です。前立腺炎には「急性前立腺炎」と「慢性前立腺炎」があります。
急性前立腺炎は、膀胱炎などの尿路感染症が前立腺にまで広がり、起こることが多い病気です。下腹部から会陰部(陰嚢のつけ根から肛門まで)にかけての急激な鈍痛、頻尿、排尿痛、発熱などがおもな症状です。炎症が進むと、尿道から膿の排出がみられることもあります。急性前立腺炎は早期に治療すれば、比較的経過はよく、通常10日ほどで治癒します。
一方、慢性前立腺炎は、比較的年齢の若い男性から壮年までの男性に発病します。この病気は、急性前立腺炎のあとに慢性化することもありますが、最初から慢性的に症状が現れることが多く、比較的急に始まり、ある日突然、尿道から出血し、症状があると訴える患者さんが多くみられます。急性前立腺炎のような発熱や強い排尿症状はないものの、残尿感、尿意切迫などの尿路系の症状がみられます。
共通する症状は、会陰部の不快感、鼠径部(そけいぶ:下腹部と脚の境目付近)の鈍痛などがありますが、日によって調子のよい日と悪い日があり、症状に波がみられます。
尿を検査してもほとんど異常はなく、原因菌も見当たらないことが多いです。また、治療しても、不快な自覚症状がとれないことがあり、いったん症状がとれても再び発症しやすい病気です。症状が持続し、経過が一進一退となることが多いため、医師も患者さんも悩むのが慢性前立腺炎です。
慢性前立腺炎の対処法や治療として特別なものはありません。精液の培養で細菌が検出されれば、抗菌薬を服用します。一般に、バイクや自転車の運転などで局所に刺激が加わることや、深酒、便秘などは症状を悪化させます。大切なことは、規則正しい生活をし、とくに睡眠を十分にとること、自分の経験からよいと思うことは積極的に実行し、悪いと思うことはなるべく避けることです。また、寒さはよくありません。冬はなるべく寒さによる冷えを避け、夏でも水泳、強い冷房には気をつけましょう。温浴は効果的です。療養で大切なことは、不快感が続くため、心理的な負担を伴いますが、悪性の病気ではないことを理解して気にしすぎず、体調を整えて経過をみることが大切です。
一方、前立腺がんは、無症状で経過することがほとんどです。最近は、前立腺がんのスクリーニングとしてPSA(前立腺特異抗原)検査を受ける人が増えています。前立腺がんは、加齢とともに多くなるがんの代表です。若い世代で前立腺がんになることは考えにくいですが、心配であれば、PSA検査を受けてみるとよいでしょう。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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