歯科のレーザー治療とは?

最終編集日:2024/1/15

むし歯の治療といえば、キーンと音のする機器で少しずつ歯を削るイメージがありますが、レーザー光を当てれば一瞬でむし歯の部分を除去することが可能です。痛みも少なく、削る部分も最小限で済むなど、患者さんにやさしい治療法として、歯科のレーザー治療が注目されています。


●ピンポイントで病巣部に強い光を当てて治療する

レーザーとは、光を増幅して放射するしくみのことをいいます。通常の光はさまざまな波長の光が混じっているため、多方向に光が拡散されますが、レーザーは1つの波長の光を選んで増幅するので、ピンポイントで特定の場所に光を照射することができます。この特長を利用して、むし歯や歯周病口内炎などの該当部に瞬間的にエネルギーを照射して治療するのが歯科のレーザー治療です。治療に伴う副作用などもないので、子どもや高齢者、妊娠中の人、基礎疾患を持っている人も安心して受けられる治療法といえます。

歯科用レーザーには、歯を削ることができるEr:YAG(エルビウムヤグ)レーザー、レーザーメスとして使える炭酸ガスレーザー、軟らかい組織に使う半導体レーザーなど、多くの種類があり、治療内容によって使い分けます。


●レーザー治療ならむし歯治療も痛くない

むし歯の病巣部にピンポイントでレーザー光を照射すると、その部分が蒸発するようになくなります。これを「蒸散除去」といいますが、従来の治療に比べると歯を削る量が少なくて済むため、特に初期の小さなむし歯で効力を発揮します。痛みもほとんど生じず、麻酔の力を借りなくてもむし歯を治療できるので、患者さんの身体的負担はだいぶ軽減されるといってよいでしょう。

歯周病の場合は、歯周ポケット(歯肉と歯の間の溝)の中の歯の表面についた歯石や歯垢が細菌の温床になっているので、レーザー光を照射して歯石や歯垢を除去したり、殺菌したりして治療をします。炎症を起こしている歯肉をレーザー光で切開してうみを排出することも可能です。レーザー光で切開すると出血が少なく、傷が早く治るという利点もあります。

アフタ性口内炎にもレーザー治療は効果的です。レーザ光を照射することで痛みが軽減し、治癒も早まります。


●治療内容によっては健康保険が適用される

むし歯や歯周病、口内炎のレーザー治療に対しては健康保険の適用が認められています。しかし、症状や治療内容によっては適用外で自己負担となることもあります。事前に歯科で説明を受け、よく理解したうえで治療を受けるようにしましょう。

レーザー治療を受けられる歯科は増えつつありますが、専門の技術や治療機器が必要なため、すべての歯科で受けられる治療ではありません。日本レーザー歯学会のサイトには、学会の認定医・専門医・指導医の所属する歯科医院や大学病院などのリストが掲載されているので、参考にするとよいでしょう。

監修

医療法人社団 溝口デンタルオフィス 理事長・院長

溝口 尚

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