胃に残ったバリウムの行方は!?
最終編集日:2022/2/20
健康診断の際、胃の検査でバリウムを飲む人は少なくないと思います。飲んだバリウムは、便として排泄されますが、体内に残ってしまうことはないのでしょうか? また、残ってしまった場合、体に害はないのでしょうか?
人間の体は通常、口から入ったものは肛門から排泄されます。しかし、胃の外側に憩室(けいしつ)と呼ばれるくぼみがあると、バリウムが残ってしまうことがあります。憩室は胃の壁が一部外方へ袋状に突出したのもので、廊下にある小さな休憩室のようなものと考えてください。
胃の憩室は生まれつきのものが多いですが、病気ではなく、ほとんどは無症状なので過度に心配する必要はありません。バリウムが憩室に残ってしまっても、ほとんど無害とされています。逆にバリウムによる検査で偶然、胃の憩室が見つかることも少なくありません。
ただし、憩室が大きくなってくると、胃の不快感や腹痛、胸やけ、嘔吐などの症状が起こることがあります。また、まれに糞便などが憩室の中に長く溜まって、細菌感染による炎症を起こすこともあります。憩室炎は重症化すると、腸管に穴が開いたり、膿瘍を形成したりすることもあるため、注意が必要です。
胃の憩室は気になる症状がなければ特に治療の必要はなく、内視鏡検査で定期的に経過観察を行うだけで十分です。年1回の胃の検査を欠かさないようにしてください。
監修
保健同人フロンティアメディカルチーム