子宮頸がん治療の今

最終編集日:2023/2/27

子宮頸がんとは、子宮の入口付近、子宮下部の筒状の「頸部」にできるがんです。子宮上部の袋状の「子宮体部」にできるがんとあわせて「子宮がん」とも呼ばれますが、子宮頸がんは子宮がんの約7割を占めます。


●子宮頸がんはどんながん?

子宮頸がんは20〜40代以上の女性に多く、国内では年間約1万人が罹患し、約3000人もの女性が命を落としています。子宮頸がんが発生する原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染です。

HPVは人間の皮膚や粘膜にいるごくありふれたウイルスで、女性の多くが一生に一度は感染するといわれています。通常は感染しても免疫機能により排除されますが、一部の人でがんになってしまうことがあります。性行為を通じて感染するため、これを予防するためには、初めての性交渉を経験する前に「HPVワクチン」を接種することが重要です。HPVワクチンは感染を防ぎ、がんそのものを予防する効果があります。


●治療方法は3つ

子宮頸がんはゆっくり時間をかけて増殖します。感染後にHPVがなくならず、感染した状態が続くと、がんになる手前の状態である「前がん病変」(異形成)を経て、子宮頸部の表面だけにがんがある「上皮内がん」、そして周囲の組織に入り込む「浸潤がん」へと進行していきます。

異形成や上皮内がんの場合、手術(外科治療)が有効です。子宮頸部の一部を円すい状に切除する「円すい切除術」により、病巣を完全に取り切り、子宮を温存することができます。浸潤がんの場合、手術、放射線、化学療法の3つの治療法があります。これらを単独、もしくは組み合わせて行いますが、この治療の方法が、現在の日本と海外では大きくかけ離れています。


●世界と日本で異なる治療の選択

がんが腟や子宮頸部を支えている組織(子宮傍組織)に広がりはじめているステージ2では、放射線治療と抗がん剤治療を同時に行う「化学放射線治療」(CCRT)が世界的に主流です。

がん治療先進国であるスウェーデンの場合、ステージ2の子宮頸がん治療は、86%が放射線と化学療法の組み合わせか、放射線治療単独が選択され、手術は7%にすぎません。ステージ2の中でも、70%以上を占める2B期(子宮傍組織に浸潤がある)に限ってみると、約90%が(化学)放射線治療で、手術は4%です。


しかし、日本の子宮頸がん治療のガイドラインでは、2B期に対して手術が第一に推奨されてきた歴史があり、2022年にようやく「化学放射線療法」が推奨のトップに変更されました。ただ、実際の現場では、手術と(化学)放射線治療の件数がほぼ同じで、さらに2B期の手術では、約半数が術後に(化学)放射線治療を行っています。

子宮頸がんの手術に伴う合併症で、足や下腹部に浮腫と呼ばれる「むくみ」が生じることがあり、多くの患者さんを悩ませています。手術後にすぐにむくみが現れる人もいれば、数年後に現れる人もいます。見た目の問題だけでなく、歩きにくい、関節痛や頭痛、細菌に感染しやすくなるなど、QOL(生活の質)に影響を及ぼします。

手術をせずに、(化学)放射線治療を受けることで、患者さんの身体的・精神的負担だけでなく、時間や経済的負担をも少なくすることができるでしょう。

監修

東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授

中川恵一

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