突然の胸の痛みはもしかして「気胸」かも

最終編集日:2022/10/24

秋晴れの空の下、大きく深呼吸。気持ちよく空気を吸い込んだものの、何だか胸がチクチク痛む……。その痛みは気胸が原因かもしれません。


気胸は、肺の表面にブラという直径1cm程度の空気のたまった袋ができ、それが破れて起こります。胸膜の間の胸腔内に、もれた空気が貯留し、肺が虚脱した(潰れた)状態です。気胸の多くは自然気胸で、自覚症状は突然の呼吸困難と胸痛です。


若い人の自然気胸は、持病に呼吸器疾患がないことが多いです。成長期にブラがつくられ、ある日突然発症します。60代以上では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など肺の病気に続いて気胸が発症し、喫煙者に多くみられます。

気胸はよくみられる病気ですが、なぜブラが破れて気胸を起こすか、なぜ再発するのかなどの発生機序や治療法の選択など、まだ十分な科学的根拠がそろっていません。


軽度の気胸は自然に治ることが多いため、安静にして経過観察を行います。中等度以上になると、胸腔内に管(ドレーン)を入れて肺を膨張させる治療(胸腔ドレナージ)を行います。一般的に手術適応になるのは、胸腔ドレナージなどの治療をしても空気のもれが持続する場合、再発や両側に気胸が起こった場合などです。気胸の再発を予防するためには手術が必要で、現在は胸腔鏡手術が普及しています。


また、気胸のなかには、女性特有の月経随伴性気胸というものがあります。子宮内膜症の患者さんは、子宮内膜が血流にのって遠くの臓器に病巣をつくることがあり、この病巣が肺に飛ぶと、気胸の原因になる場合があるのです。月経随伴性気胸は、呼吸器科と婦人科が協力して治療を行います。


軽度の気胸であれば不安に感じ過ぎる必要はありませんが、胸の痛みは重大な病気が原因となっている可能性もあります。まずはかかりつけ医に相談してみるのがよいでしょう。

監修

保健同人フロンティアメディカルチーム

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