生理前のひどい気分の落ち込みはPMS?

生理前になると気分がひどく落ち込んでしまい、つらいです。これはPMS(月経前症候群)の症状なのでしょうか? 下腹部痛などの身体症状はあまりないのですが、PMSとは違うのでしょうか?
この質問への回答
小山嵩夫クリニック 院長 小山嵩夫
PMS(月経前症候群)は、月経(生理)開始の3〜10日前から眠気、頭痛、下腹部痛などの身体症状や、気分の落ち込み、イライラ、情緒不安定などの精神症状が現れ、月経開始とともに治まるのが特徴です。症状のうち、精神症状が強く現れている場合は「PMDD(月経前不快気分障害)」の可能性があります。
PMDDとは1990年代に病名がついた新しい病気で、月経前に気分の落ち込み、抑うつ感、不安感、イライラ、情緒不安定、怒り、集中力の低下といった精神症状が極端に強く現れるものです。当初は「PMDDは重いPMS」というとらえ方しかされていませんでしたが、2013年に米国精神医学会が診断基準を発表し、うつ病と同程度の病気として扱われるようになりました。
PMDDの原因はまだはっきりと解明されていませんが、月経前に分泌量が増加する「黄体ホルモン」の影響や、気持ちを落ち着かせる神経伝達物質「セロトニン」の働きの低下、遺伝的な要因などが関連していると考えられています。
PMSと同様にPMDDも月経が始まると症状が治まりますが、症状が現れている間はつらい思いをし、また、症状によっては日常生活や仕事、勉強などに支障をきたし、ときに人間関係が悪化するなどで、苦しんでいる患者さんが少なくありません。我慢せずに、一度婦人科を受診しましょう。PMDDと診断されれば、薬の処方がされたり、生活改善などで症状緩和につながります。症状によっては、婦人科から心療内科や精神科を紹介される場合もあります。


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