薬・薬局の知識

最終編集日:2022/3/30

概要

「薬」は病気やけがをしたときの治療にとても重要な役目を果たしています。医師から出される処方薬、薬局やドラッグストアで買うことができる一般の医薬品、そして最近ではコンビニエンスストアやインターネットで購入できる薬もあります。
このように薬はとても身近な存在ですが、意外に知らないこと、気づかずにいることがあります。
薬の分類、薬の種類、そして使用する際のポイントや気をつけなければならないことなどを、きちんと確認しておきましょう。
薬は私たちに大きな効果をもたらしてくれますが、その半面、副作用ももっています。薬の効果を最大限に引き出すとともに、安心して使うために薬に関する基礎知識をしっかり身につけておくことは、とても大切なことです。

薬の分類

薬は大きく、医師によって処方される「医療用医薬品」と、薬局やドラッグストアで購入できる「OTC医薬品」に分けられます。


医療用医薬品

医療用医薬品は「処方薬」ともいわれます。医療機関を受診して医師の診察を受けたあとに、医師が出す処方せんによって薬剤師が調剤する薬のことです。
対象の病気や症状に対して大きな効果が期待できる薬ですが、一方で副作用には注意が必要です。ただし、医師によって病気や現在の症状、さらに患者の体質にあわせた薬が処方されていますので、医師や薬剤師の指示を守って使えば問題はありません。


OTC医薬品

OTCは「Over The Counter」=“薬局のカウンター越しに”という意味で、薬局やドラッグストアで自分で選んで買える薬をOTC医薬品といいます。市販薬、大衆薬とも呼ばれます。
OTC医薬品はさまざまな年齢や体質、症状をもった人が自分で選び使用するため、とくに安全性が重視されています。
OTC医薬品は「要指導医薬品」と「一般用医薬品」の2つに分類されます。
・要指導医薬品
要指導医薬品は、従来医療用医薬品に使われていた成分や使用量などをOTC医薬品として使えるようにした薬です(スイッチOTCと呼ばれることもあります)。使用時には十分な注意が必要とされ、購入時には必ず薬剤師から直接、説明や使用上の注意、指示を受けることが義務づけられています。
一般の医薬品はインターネットでも購入できますが、要指導医薬品はできません。また、要指導医薬品は3年ほど販売されたあとに、安全性に支障がない場合は一般用医薬品に移行します。


・一般用医薬品
医療用医薬品や要指導医薬品にくらべて、有効成分を少なくして安全性を第一に考えられているのが一般用医薬品です。そのため効果は弱めで限定的です。
一般用医薬品はさらに副作用のリスクの程度によって、「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」の3つに分けられています。
第1類医薬品は、使用時にとくに注意が必要な薬です。購入者に対し薬剤師がその効用や副作用、使い方について情報提供を行う義務があります。
第2類医薬品も使用時に注意が必要な薬です。義務ではありませんが、薬剤師または登録販売者などの販売者は薬に関する情報を提供する努力が求められます。
第3類医薬品は副作用のリスクの程度が比較的低い薬です。購入者が直接希望しない限り、薬剤師または登録販売者には情報提供を行う規定はありません。

薬の種類

薬はその種類や形状もいろいろで、「外用薬」「内用薬」「注射剤」などの種類があります。


外用薬

目、鼻、口などの粘膜、皮膚に直接使う薬です。
貼り薬、軟膏、座薬、トローチ、点眼剤、吸入剤などがあります。


内用薬(内服薬)

口から服用して体内で消化吸収させる薬です。
錠剤、粉薬(散剤)、顆粒剤、カプセル、液剤(シロップ)などがあります。


注射剤

血管内、筋肉、皮下などから直接体内に入れる薬です。
点滴や注射で使用され、おもに医療機関で使われています。


薬にこのような形状や剤形があるのは、次のような理由があります。
・薬の効果を高めるため
・効果が早く出るようにするため
・効果を長時間継続させるため
・使いやすくするため
・体内に直接薬を入れ、効果を最大限に引き出すため 


また子どもや高齢者など、人によっては錠剤や粉薬が飲みづらいなどのケースがあります。そんなときは、医師や薬剤師に相談してみましょう。同じ有効成分の薬で、小さい錠剤のもの、ドライシロップなどの服用しやすい薬に変えることができる場合もあります。このように、薬は病気や症状を治療するために、さまざまな工夫がされています。

薬の用法の仕方

薬の使う場合には、その薬の持つ効果をしっかりと発揮させ、かつ副作用を生じさせないようにしなければなりません。そのためには用量や飲む時間、回数、飲み方など薬の用法をしっかり守ることが大切です。


用量を守る

指定された量をきちんと守りましょう。治ってきたからと減量したり、悪化したからと自己判断で増量したりするのは危険です。効果が薄れたり、副作用が現れたりして、治療が長期化してしまうリスクがあります。


服用する回数や時間(タイミング)を守る

薬の効果を最大限に発揮するためには、服用する回数や時間、タイミングが決まっています。
1日2回なら服用と服用の間を6時間程度あけ、1日3回なら4時間程度あけましょう。
また、「食前」「食後」「食間」「就寝前」などと決められている場合があります。
・食前:食事をする前30分以内に
・食後:食後30分以内に
・食間:食事中ではなく食事と食事の間。前の食事が終わってから2〜3時間後に
・就寝前:就寝する30分〜1時間前に


薬はそのまま服用する

薬はそのまま服用します。カプセルを開けて中身を飲んだり、錠剤をつぶして飲んだりするのはやめましょう。もし飲みにくい場合は、医師や薬剤師に相談すると、同様の成分で、より飲みやすい形状の薬に変えてくれることもあります。


薬はコップ1杯の水あるいは白湯で飲む

医師や薬剤師、また添付文書などに特別な指示がない場合は、内服薬はコップ1杯の水や白湯(ぬるめの湯)で飲みます。コーヒーや紅茶、清涼飲料水、酒類などで服用すると有効成分の吸収を妨げたり、作用を弱めたり、反対に強めたりする相互作用が出ることがあるので注意が必要です。
また、水・白湯なしで飲むと薬がのどや食道の粘膜について、潰瘍を起こすこともあるのでやめましょう。


使用期限はしっかり守る

処方薬の場合は医師の指示に従って、用量・用法を守りきちんと飲むことが大切です。
市販薬は使用期限が外箱などに記載されていますので、使用前に必ず確認して使用期限が過ぎている薬は使わないようにします。


処方薬を自己判断でやめたり、多く服用したりしない

処方薬は、医師が病状や患者の体質を考慮して処方したものです。自己判断で服用をやめたり、反対に多く飲んだりすると、効果が出ない、症状が悪化する、副作用が出るなどが考えられますので絶対にやめましょう。
また、飲み忘れなどで余ってしまった薬があるようなら、薬局に相談してみましょう。

かかりつけ薬局の役割

健康な生活を送るうえで「かかりつけ医」の必要性が重視されています。かかりつけ医をもつことは、日々の健康管理だけでなく、急な病気やけがに際して、適切な医療をスムーズに受けられることにつながります。
加えて近頃重要視されているのが、「かかりつけ薬局」「かかりつけ薬剤師」の存在です。
「かかりつけ薬局」や「かかりつけ薬剤師」をもっていると、複数の医療機関から処方されている薬の管理や、薬同士の相互作用などについてのアドバイスを受けることができ、また、市販薬を選ぶ際にも、過去の服薬情報を考慮した提案を受けることができます。
「かかりつけ薬局」「かかりつけ薬剤師」とは、薬や医療など健康に関する豊富な知識と経験をもち、患者一人ひとりに合った提案ができる薬のスペシャリストです。
厚生労働省も、薬局および薬剤師が専門性を発揮して、患者の服薬情報を一元的・継続的に把握して健康指導を行うことの重要性を訴えています。この取り組みは、多剤・重複投薬の防止や残薬解消などにつながり、医療費の適正化にもよい影響をもたらすとしています。
近年、薬局は処方による調剤や市販薬の販売だけでなく、健康食品や介護関連商品の販売や相談なども行っています。健康的な生活を送るためには、かかりつけ医とともに、いつでも気軽に相談できる「かかりつけ薬局」「かかりつけ薬剤師」をもつことが大切です。

監修

寺下医学事務所医学博士

寺下謙三

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