脊髄小脳変性症

せきずいしょうのうへんせいしょう

最終編集日:2022/1/11

概要

小脳には、筋肉の動きを調節したり、平衡感覚を整えたりする役割があります。その小脳にある神経細胞が変性することにより「歩行時にふらつく」「ろれつが回らない」「不規則に手がふるえる」などといった動作を円滑にできなくなる病気が脊髄小脳変性症です。

足のつっぱりや歩行障害が起こることもあります。

脊髄小脳変性症は国の難病に指定されているので、医療費の補助を受けることができます。

原因

大きく分けて、遺伝性と孤発性(非遺伝性)があり、約1/3が遺伝性といわれています。

孤発性は、神経変性が小脳のみに現れる「皮質性小脳萎縮症」と、神経変性が小脳以外にも広がる「多系統萎縮症」の2つに分類されます。

10~70代までと幅広い年齢で発症する病気ですが、そのきっかけや原因は、はっきりとは解明されていません。何らかの原因により、小脳の神経細胞が変化して機能不全に陥り、小脳や脳幹に異常なたんぱくが蓄積することで小脳・脳幹が小さく縮んでいく病気です。

症状

人によって病状が異なりますが、共通するのは、起立・歩行のふらつき、手を動かしにくい、ろれつが回らないなどの症状です。

筋肉をバランスよく使えなくなる病気なので、箸を使ったり字を書いたりするなど、細かい動作がしにくくなります。

こうした症状がゆっくりと進行していくのも特徴です。病状が悪化すると、食べ物の飲み込みや排尿・排便が困難になることもあります。

検査・診断

問診の後、家族の病歴なども聞き取り、遺伝性について確認します。小脳や脳幹の萎縮、脳の形態変化についてはMRI検査やCT検査で調べます。

ほかにも核医学検査で脳内のドーパミンを出す細胞や小脳の血流、ブドウ糖の代謝、心臓の交感神経などの異常、目の動きや前庭機能(平衡感覚を保つ前庭神経の働き)、嚥下機能や声帯の動きなどを調べる検査を行うこともあります。

遺伝性であることが疑われる場合は、遺伝子検査を行います

治療

現在、さまざまな研究が進められていますが、根本的な治療法や進行を止める方法は解明されていません。そのため症状を緩和させる対症療法が広く行われています。

現在は、病気の進行スピードを緩める甲状腺ホルモンの刺激薬、セレジスト(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン誘導体)がおもに使われています。排尿・排便障害や足のつっぱりなどには、それぞれをやわらげる治療が行われます。

セルフケア

療養中

歩行時や起立のふらつきにより、転倒する危険性が高いため、廊下や風呂、トイレなど、日常生活で頻繁に利用する場所には手すりなどを設置しましょう。

病気が進行し、食べ物の飲み込みが困難になったときは、食べ物を小さめにカットする、軟らかく調理するなど食事法に気をつける必要もあります。場合によっては、リハビリテーションを受けるのも効果的です。

監修

昭和大学 医学部脳神経外科 名誉教授

藤本司

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