小児肥満
しょうにひまん

最終編集日:2023/3/20

概要

肥満はあり余るエネルギーが体内に脂肪として過剰に蓄積された状態です。子どもの肥満は一時期よりは減少したといわれますが、12歳男児の約10%、女児の約8%に肥満があるとされています。成人における肥満と同じように、小児肥満も糖尿病、脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病の原因となり、心血管障害や脳血管障害のリスクを高めます。また、幼児期の肥満の約25%、学童期の肥満の約40%、思春期の肥満の約70%が、成人肥満につながると考えられています。

原因

肥満は基礎疾患の有無によって「単純性(原発性)肥満」と「症候性(2次性)肥満」に分けられます。単純性肥満は肥満の95%以上を占め、カロリーの高い食事、バランスの悪い食生活、食べすぎ、おやつやジュースのとりすぎ、運動不足が肥満の原因となります。


一方、肥満を起こす原因疾患があるものが症候性肥満で、神経内分泌性肥満(視床下部性肥満、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、成長ホルモン欠損症など)、遺伝性肥満、薬物などが原因として考えられます。

症状

【受診を検討するケース】

成長曲線や肥満度判定曲線を用いて身長と体重のバランスを調べ、体重が多い状態がつづいているようなら、小児科で相談しましょう。

検査・診断

小児の肥満の評価は肥満度を用いて行います。


肥満度=〔実測体重(kg)-身長別標準体重(kg)〕÷身長別標準体重(kg)×100(%)


[判定]肥満度+20~30%:軽度肥満、+30~50%:中等度肥満、+50%以上:高度肥満

ただし乳児では肥満があっても原因となる病気がない限りは経過観察とし、肥満の評価の際にも上記の式は用いません。


成長曲線や肥満度判定曲線などで、肥満度の推移や健常児との比較を行います。また、小児の体格指数として「カウプ指数」、皮下脂肪の厚さを測定する方法などを目安にすることもあります。

肥満の状態をみるだけでなく、血圧、血糖値、血中コレステロール・中性脂肪、尿酸なども測定し、全身の状態を確認します。2次性肥満が疑われる場合には、原因疾患の特定のための検査が行われます。

治療

食事療法と運動療法、体重の管理が中心になります。


●食事療法……食事の量と栄養バランスの見直し、規則正しい食生活、早食いの改善、間食を控える、スポーツドリンクやジュースをできるだけ飲まない、夜食を食べない、などが挙げられます。小児では食事制限によって成長に悪影響を与えるリスクがあるため、医師や管理栄養士と相談しながら取り組みます。

●運動療法……1日の運動量を把握し、生活のなかで積極的にからだを動かす習慣を身につけます。少し習慣づけができたら、外遊びを促し、1日60分程度の運動をすすめます。

●体重の管理……毎日体重測定を行い、結果を記録して「見える化」し、動機づけを行います。



セルフケア

療養中

【周囲の対応】

最初は減量よりも、体重を増やさず維持することを目標にします。医師と相談して、実行可能な目標を掲げることが「やる気」につながります。減量できたら、あるいは食事療法や運動療法を決まった期間つづけられたら「ごほうび」を与えるなどして、本人に達成感をもたせることも生活改善の継続には大切です。

また、家族全員の生活習慣を見直すことも、本人の治療のプラスになります。

監修

医療法人青泉会下北沢病院 糖尿病センター長

富田益臣

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