咽喉頭異常感症
いんこうとういじょうかんしょう

最終編集日:2023/3/13

概要

のどに異物感や詰まっている感じがあるのに、医療機関で検査を受けても異常が見つからない状態をいいます。くわしい原因は不明ですが、ストレスなどで交感神経の働きが強まると、咽喉頭周囲の筋肉が過剰に収縮し違和感が生じるため、不安や緊張状態にあるときに症状が出やすいといわれています。性別年齢に関係なく、心身にストレスがかかりやすい人に発症しますが、とくに更年期の女性に多くみられます。

咽喉頭異常感症の診断は、ほかの疾患が原因となっていないかを確認するため、まず耳鼻咽喉科を受診し、その後、必要に応じて精神科や心療内科で治療を行います。

原因

くわしいメカニズムはわかっていませんが、心身のストレスや、不安、抑うつ状態などがかかわっていると考えられています。ストレスを受けると、自律神経のバランスが崩れて交感神経が優位になります。それによって咽喉頭周囲の筋肉が過剰に収縮し、食道の内側が締めつけられ、のどの異物感や閉塞感、飲み込むときの不快感などをきたすと考えられています。

症状

症状として、のどの異物感が起こります。感じ方に個人差がありますが、おもなものとして、のどのつかえや圧迫感、閉塞感、飲み込みづらいといった症状を訴えます。症状は悪化することはないものの、治まることはなく、液体を飲み込むときに違和感が生じやすく、固形物を飲み込む場合には違和感が生じないことが多いといわれています。

検査・診断

まず耳鼻咽喉科を受診します。問診で症状や既往歴などを確認したのち、咽喉ファイバースコープで咽頭の状況を確認したり、頸部の超音波(エコー)検査や、CT、MRといった画像検査で頸部にある病気の有無を確認します。また、血液検査を行い、アレルギー症状や炎症反応を確認したり、首に腫れなどの異常がある場合は甲状腺ホルモン検査を行うこともあります。

治療

咽喉頭異常感症では、身体的な異常や疾患がない場合は、確実な治療法はありません。そのため、症状にあわせた対症療法や、心理療法によって、原因となるストレスや不安などの軽減に取り組んでいきます。不眠や不安、うつなどの症状が強い場合は、睡眠薬、抗うつ薬などの薬物療法を行います。症状が軽いときや薬の減量を行うときなどには、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などの漢方薬を使用することもあります。

心理療法では、認知行動療法でストレスに対応しやすくしたり、洞察的な精神療法で隠れた心理的要因の発見や解消などを行います。

セルフケア

療養中

原因となる精神的なストレスを発散させることで改善できる可能性があります。そのため、生活習慣を見直してストレスを軽減していくことも大切です。睡眠や休息をとり、適度な運動、カフェインなどの刺激物を避けるなど、自律神経のバランスを整えることが、症状の改善や予防に役立ちます。

監修

耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニック 院長

大河原大次

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