声帯ポリープせいたいぽりーぷ
最終編集日:2023/9/28
概要
声帯にできたポリープ(粘膜がふくらんだ、こぶのような腫瘍)を指し、多くは良性疾患です。声帯粘膜の血管が破れてできる血腫(血の塊)が原因になります。職業的に声を多く使う人に好発するとされています。治療後も同じように声帯を酷使すると、再発しやすいことがわかっています。
原因
声帯を酷使することが原因になります。歌手、アナウンサー、俳優、教師など、職業的に声を使う人に多くみられます。また、カラオケやスポーツ観戦の応援などで一時的に大声を出した後などにも発症しやすくなります。
そのほか、誘因として、声帯の乾燥、喫煙や過度の飲酒による声帯への負担、睡眠不足による声帯のむくみなどが考えられています。
症状
のどの違和感や、ポリープによって声帯の正常な振動が妨げられるため、嗄声(させい:声がれ)が現れます。
検査・診断
間接喉頭鏡検査(のどの奥をみる鏡)や喉頭内視鏡でポリープの位置と大きさ、形状、性質などを、喉頭ストロボスコピー検査で声帯の振動障害の様子を診断します。喉頭ストロボスコピー検査はストロボを用いることで声帯の振動の様子を観察することができます。そのほか、GRBAS尺度、ボイス・ハンディキャップ・インデックス(VHI)などの評価法で、嗄声の様子、声の出し方の様子などの音声評価を行います。
嗄声を現すポリープ様声帯、声帯肉芽腫、反回神経麻痺、喉頭がん、声門がん、急性喉頭蓋炎などとの鑑別が重要です。
治療
発症初期の小さいもの、赤い色を呈しているものは、まったく発声しない「沈黙療法」、あるいは大声を出さない・話す頻度を減らすなどの「声の安静」で自然に消退する場合があります。多くは気道粘膜潤滑薬、止血薬、抗炎症薬などを服用しながら様子をみます。
自然に消退しない場合、またはポリープが大きい、腫瘍が疑われるなどの場合は、直達喉頭鏡下での喉頭微細手術(ラリンゴマイクロサージェリー)による声帯ポリープ切除術が適応されます。声帯ポリープ切除術は全身麻酔下で行われ、ポリープの大きさや、できた場所などによって、また医療機関によって異なりますが、2~5日の入院が必要です。
術後の発声禁止期間も、1日から1週間程度と、やはりポリープの状態や医師の考え方によって、違いがあるようです。
セルフケア
療養中
【再発防止のために】
手術でポリープを切除した後、治療前と同じような声の出し方や生活スタイルをつづけていたのでは、再発の可能性があります。まず、言語聴覚士の指導を受け、のどに負担のかからない声の出し方を学びます(発声リハビリテーション)。
加えて、次のことを心がけ、声をいたわる生活に切り替えてください。
●声帯に負担をかける話し方を改める(長時間話しつづける、大声を出す、高い声で話す、叫ぶ、裏声などは避ける。ささやき声も声帯に負担をかけるとされている)。
●喫煙、過度の飲酒は控える。
●口呼吸を改める。
●逆流性食道炎がある場合は治療し、声帯が消化液(胃酸)にさらされないようにする。
●声帯の乾燥を防ぎ、潤いを与える(こまめな水分摂取、乾燥期のマスク着用、吸入器の使用などで、声帯の乾燥を防ぐ)。
監修
耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニック 院長
大河原大次
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