コロナ下での発達障害児への影響 その1

最終編集日:2022/7/25

●影響がもっとも強く出るのが発達障害児


コロナ下によって子どもたちの生活は、発達障害の有無にかかわらず、変化しました。発達障害のない子どもでもネガティブな影響を受けています。発達障害の子どもだけに特徴的な影響や症状はなく、影響がもっとも誇張された形で出ているのが発達障害をもつ子どもたちだと思います。


発達障害をもつ子どもは元々、メンタルヘルスの問題を抱えています。遺伝的な要因もありますが、学校や家庭といった環境の影響によって症状として強く現れる場合には、医療機関での専門的治療が必要になる場合があります。しかし医療というものは、保護者が問題と感じ、予約などのプロセスを経なければ受けられないサービスであるため、本来必要でも受診に至らない場合もあります。それぞれの家庭の価値観、メンタルへルスに関する偏見、経済力、リテラシー、養育力には差があり、周囲がすすめても、病院に行くことに抵抗の強い家庭もみられます。


とくにコロナ下においては、子ども、そして家庭の問題を切り離しては考えられません。保護者にかかる生活全般のストレスは、間違いなく大きかったと思います。生活が大変な中で、子どもに必要な対応を考えたり、専門家の意見を求めたり、学校の先生に相談するのは大変なことです。そのうち、と先延ばしにしたくなるのも理解できます。


●コロナ下での措置で気づかされたこと


誰でも通える義務教育の学校、子どもの生活の一部である場所が、コロナで閉鎖となり、オンライン授業などの措置があったものの、家庭に向けた配慮は不十分だったと言わざるを得ません。親が不安を感じても、先生に相談することもままならなかったわけです。


本来、オンラインでできることはたくさんあり、発達障害のある子の中にはオンライン授業で友だちの顔が見えることで安心して過ごした子もいて、友だち関係がうまくいかない子の中には直接会わないことでほっとしていた子もいたはずです。


コロナにかかわらず不登校の子はいて、その中には発達障害のある子もたくさんいます。彼らやその家族にとっては、オンライン授業の実施は光明となる場合もあったと思います。平時でも子どもの状態に応じて、オンラインでの勉強か登校か、学び方を柔軟に選べたら、不登校の子の孤立化を避けられると気づきました。同じ場所に集まって共同で活動することもとても大事ですが、それが負担になる子もいます。そういったオプションが増えれば、学校の価値はもっと上がるように思います。


※2022年7月20日時点の内容です。

監修

発達障害クリニック 院長

神尾陽子

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