ヒートショック予防のポイント
最終編集日:2023/12/18
急激な温度変化によって、血圧が急激に上昇したり低下したりしてからだに悪い影響を与えることを「ヒートショック」といいます。寒さが厳しくなるこれからの季節はヒートショックを起こしやすい時期です。用心して過ごしましょう。
●寒い脱衣所・浴室はヒートショックのリスク大
ヒートショックが最も起こりやすいのは入浴時です。暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室に行って裸になると、体内の熱を外に逃がさないために血管が収縮して血圧が急激に上昇します。そして湯船に入った直後にさらに血圧が上昇するのですが、しばらくしてからだが温まると今度は血管が拡張して血圧が急激に下がります。
こうした急激な血圧変動を防ぐには、まず温度差を小さくする対策が必要です。寒さを我慢するのではなく、脱衣所や浴室を暖めてから入浴するようにしましょう。脱衣所にコンパクトな暖房機を置いたり、浴室に浴室暖房乾燥機を取り付けたりするといいのですが、浴槽のふたや浴室の扉を開けて湯張りをしたり、高い位置からシャワーの湯を浴槽に注ぐなどによって室温を上げる方法もあります。
入浴の仕方で急激な血圧変動を防ぐことも可能です。湯に入る前には「かけ湯」またはシャワーでからだに湯をかけてからだを慣らすことが必須です。5〜9回ほど、かけ湯をすると血圧の上昇幅を抑えられることがわかっています。心臓から遠い手足から徐々に湯をかけていきましょう。湯の温度は体温に近いほど血圧変化が小さくなります。熱すぎる湯は避け、夏は38℃、冬は41℃程度を目安にしましょう。湯につかる時間は長湯を避け、10分程度にします。
●夜中のトイレや早朝の冷気にも注意!
次に注意したいのが、夜中のトイレです。眠っている間の布団の中は体温で37℃ぐらいになっているのですが、布団から出て暖房の切れた部屋や廊下を歩くと、ヒートショックが起こりやすいのです。特に素足のまま冷たい床を歩くのは危険です。必ず靴下やスリッパを履き、パジャマの上から何か羽織りましょう。羽織るものは、触れたときにヒヤッとしないフリースなどの素材が最適です。それを布団の上にかけておけば、ホンワカと温まっているものを素早く羽織れます。
さらに注意したいのが、早朝の冷気です。少しの時間だからとパジャマのまま外にゴミ出しに行ったり、寒いキッチンで朝食の準備を始めたりするのは危険です。起床したら暖かい服装に着替え、外に出るときはマフラーなどで首回りをガードしましょう。部屋の暖房はタイマー機能を使い、起床の30分ほど前から暖めるようにするとよいでしょう。
●ヒートショックが引き起こす緊急事態
ヒートショックの怖いところは、急激な血圧上昇によって脳梗塞や脳出血、心筋梗塞を引き起こす場合があることです。家族が浴室などで倒れているところを発見したら、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
ヒートショックによって、めまいやふらつき、失神などの症状が現れ、転倒を招く危険性もあります。めまいやふらつきが起きたら、姿勢を低くして落ち着くまでじっとしていましょう。湯船の中でめまいや動悸がしたときは、失神の前触れということもあり得るので、溺れる前に湯船から出るか、湯の栓を抜いて家族を呼ぶようにします。
ヒートショックを起こしやすいのは60代以上の人、動脈硬化のある高血圧や糖尿病の人、肥満の人、不整脈の人などです。高齢になってもある程度元気な人は、若いときと同じような感覚で寒さを我慢しがちですが、我慢は禁物です。
監修
国際医療福祉大学 教授
前田眞治
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