インフルエンザとコロナの同時流行への予防と対策

最終編集日:2023/11/7

今年の冬はインフルエンザと新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の同時流行が懸念されています。適切な感染予防を行いながら、症状が出たときの対応も考えておきましょう。


●インフルエンザと新型コロナの今年の流行傾向

インフルエンザは冬の流行が通常ですが、今年は初夏から秋にかけて感染が拡大し、そのまま冬の流行シーズンに突入しそうです。季節外れの流行が続いている原因は、新型コロナの影響で2020年以降はインフルエンザの流行がほとんどみられなかったため、インフルエンザウイルスに対する免疫保持者が少ないという点が1つあります。もう1つは、新型コロナが5類感染症に移行したことで感染予防対策が甘くなった影響と考えられています。

新型コロナはこの夏に第9波の流行が起こりました。重症化率や致死率は以前に比べて低下していますが、今年の冬も流行拡大が予想されることから注意が必要です。


●ワクチン接種で感染および重症化予防を

インフルエンザも新型コロナも、予防には手洗い、部屋の換気が欠かせません。マスクは人混みや換気の悪い場所など、感染リスクの高い場所ではつけるというように臨機応変に対応するのがよいでしょう。睡眠不足は免疫機能を弱めるので、避けたいところです。

インフルエンザのワクチンは、すでに流行していることから、早めの接種がおすすめです。今秋から使われているワクチンは、A型とB型のそれぞれ2つのウイルス、計4つのウイルスの型に対応する4価ワクチンで、その中には現在流行しているA型のH3N2も含まれます。今後は別の型のウイルスが流行する可能性もあるので、今年はすでに感染したという人も接種したほうがよいでしょう。

また、新型コロナワクチンは、今秋からオミクロン株対応1価ワクチン(XBB.1.5)が使用されています。感染および重症化の予防のために接種を検討しましょう。

子どもについては、日本小児科学会が生後6カ月以上の子どもへのインフルエンザ、新型コロナのワクチン接種を推奨しています。


●初期症状が急激なインフルエンザ、徐々に出現する新型コロナ

発熱やのどの痛みなどの症状が現れたとき、症状から自分でインフルエンザと新型コロナを見分けたり、普通のかぜと区別したりするのは容易ではありません。

目安としては、インフルエンザの初期症状は急激に症状が現れることが多く、突然の38℃以上の発熱をはじめ、倦怠感、関節痛や筋肉痛、悪寒などの全身症状が現れます。新型コロナは、普通のかぜと同じようにせきやのどの痛み、発熱などで、微熱から高熱になるなど、症状は徐々に強くなることが多いです。

なお、市販の抗原定性検査キット(厚生労働省が承認したもの)を使い、セルフチェックする方法もあります。インフルエンザ用、新型コロナ用のほか、両方を同時に検査できるキットも販売されています。

重症化リスクの高い高齢者(65歳以上)・基礎疾患のある人・妊娠中の女性など、あるいは小学生以下の子どもは、発熱やのどの痛みなどの症状があったら、早めにかかりつけ医や発熱外来、小児科医などに連絡して受診すべきか相談しましょう。

一方、重症化リスクの低い人たちは、インフルエンザと新型コロナが同時流行すると外来がひっ迫して受診予約をとりにくくなることも考えられます。発熱があっても呼吸が荒くなったりせず、ぐったりした様子がなければ、とりあえず自宅療養で様子をみましょう。市販の解熱鎮痛剤や、かぜ薬などで症状を緩和させることも可能です。ただし、症状が悪化したり、しばらくしても改善しない状況であれば、医療機関に連絡して受診しましょう。


※2023年11月7日時点の内容です。

監修

帝京大学ちば総合医療センター 小児科

菱木はるか

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