アルブミン値を保持して健康長寿
最終編集日:2023/2/23
年を重ねると心配なのが「低栄養」です。食欲が落ちる、胃などの消化機能の低下、かんだり飲み込んだりする力が弱まるなど、複数の要因が絡み合い、食事量が減ることで低栄養状態に陥ると考えられます。
たとえ本人はしっかり食べているつもりでも、野菜中心の献立や、主食メインで栄養素に偏りがあるケースもあります。多様な食品をバランスよく食べることが大切ですが、中でも「たんぱく質不足」には気をつけましょう。加齢とともに、体内でたんぱく質を作る機能は低下していきます。たんぱく質は、筋量・筋力の維持だけでなく、血管や内臓、骨や皮膚などを作るためにも大切な栄養素です。高齢者のたんぱく質不足は低栄養状態につながるため、意識的に摂取するようにしましょう。
●たんぱく質・脂質不足をアルブミン値でチェック
現在の食生活で十分に栄養が足りているのかを確認するために知っておきたいのが「アルブミン値」です。血液中に存在するたんぱく質は100種類以上あるといわれますが、そのなかでもアルブミンは約60%を占める、もっとも量の多いたんぱく質です。
血液中のアルブミン値は、日頃からたんぱく質や脂質を十分に摂取していると高く保持され、低栄養状態だと低くなります。血液検査でチェックすることができるので、覚えておきましょう。高齢者のアルブミン値の目標値は「4.0g/dL以上」です。
●低栄養は認知機能低下を促進!?
低栄養状態の影響は、筋量・筋力低下だけにとどまりません。これまでの研究では、栄養状態と認知機能には関係があり、低栄養状態は認知機能の低下を促進すると考えられています。しっかり食べて十分な栄養素を摂取することは、心身の健康維持、すなわち健康余命を延伸することにつながります。
いつまでも自分らしく元気で過ごせるように、たんぱく質を意識しつつ、緑黄色野菜や牛乳・乳製品、海藻類、いも、果物など、少量ずつでもよいので多様な食品を食べるようにしましょう。
【1日あたりのたんぱく質の推奨量(ほとんどの人が必要量を満たす量)】
●男性……50~64歳:65g、65歳以上:60g
●女性……50歳以上:50g
参考:「日本人の食品摂取基準(2020年版)」厚生労働省
【高齢者が必要なたんぱく質量の目安】
●体重50㎏の人で50~60g/日
※( )内はたんぱく質量の目安
・豚ロース:50g (約13g)
・鮭:1切れ・70g (約20g)
・牛乳:1杯・180g (約6g)
・鶏卵:1個・50g (約6g)
・納豆:1パック・50g(約8g)
上記の5食品で計約53gのたんぱく質がとれる
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)
【たんぱく質を含む食品】
●肉類、魚介類、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品
監修
東京都健康長寿医療センター研究所
清野 諭
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