成人T細胞性白血病
せいじんてぃーさいぼうせいはっけつびょう

最終編集日:2022/1/11

概要

成人T細胞性白血病は、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)というウイルスに感染することで発症します。白血球中のT細胞がHTLV-1に感染し、感染したT細胞はがん化したATL細胞となり増殖をくり返していきます。病態の特徴や治りやすさにより「急性型」「リンパ腫型」「慢性型」「くすぶり型」の4つに大別されます。

ただしHTLV-1に感染しても、すべての人が成人T細胞性白血病を発症するわけではなく、発症するメカニズムについてはまだわかっていません。

原因

成人T細胞性白血病の原因はHTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)で、感染経路は母乳による母子感染、輸血、性交などです。感染後、発症までは約30~50年間の潜伏期間があります。HTLV-1に感染していても発症しないケースも多く、こうした人を「キャリア」といいます。

症状

頸部、わきの下、足のつけ根などのリンパ節に腫れが起こります。免疫機能を司るリンパ球ががん化するため抵抗力が低下して、発熱や全身の倦怠感、貧血症状、鼻や歯ぐき(歯肉)からの出血なども起こるようになります。

肝臓や脾臓などの腫れや血液中のカルシウム値の上昇、またがん化したリンパ球が皮膚に広がると湿疹や炎症を起こすこともあります。進行して脳や脊髄に広がると、頭痛や吐き気も現れます。

検査・診断

血液細胞の数や内容、HTLV-1の抗体の有無を調べる血液検査や、リンパ節に腫れがみられる場合はリンパ節生検が行われます。確定診断のためにウイルス遺伝子検査を行う場合もあります。

成人T細胞性白血病と診断されると、病気の広がりを調べるために腹部超音波検査、腹部CTスキャン、胃X線検査、内視鏡検査、胸部X線検査、胸部CTスキャンなど全身の検査が必要になります。骨髄への浸潤(しみ込むように広がる)を調べる骨髄穿刺や、脳や脊髄への浸潤を調べる脳脊髄液採取による検査を行う場合もあります。

こうした複数の検査から「急性型」「リンパ腫型」「慢性型」「くすぶり型」が確定されます。

「急性型」は悪性のリンパ球が出現し、急速に増えていくタイプです。抗がん剤による早急な治療が必要です。「リンパ腫型」はおもにリンパ節で増殖し、急性型と同様に急速に進行します。増殖のスピードが遅いのが「慢性型」ですが、急速に悪化することがあるので注意が必要です。血液中に悪性のリンパ球の存在は確認できますが症状が現れないのが「くすぶり型」で、経過観察するケースが多くみられます。

治療

HTLV-1ウイルスに感染しても必ず発症するわけではありませんが、ほかの白血病やリンパ腫よりも病状がさまざまで、治癒がむずかしい場合もあります。

成人T細胞性白血病の基本治療は、抗がん剤による化学療法です。病態や進行度にあわせて複数の抗がん剤を併用する場合があります。この併用療法で寛解(悪性細胞が減少して、症状や検査値異常が改善する)状態になることが多いのですが、再発も多く、治癒はなかなかむずかしいのが現状です。

治癒が期待できる治療法と考えられているのが、骨髄移植による造血幹細胞移植です。ただし患者さんとHLAという白血球の型が一致している提供者が必要です。

セルフケア

予防

母乳による母子感染、輸血、性交などが感染経路です。母親がHTLV-1に感染している場合、授乳を中止すれば子どもへの感染をほぼ防ぐことができます。

輸血による感染は、1986年から献血時にHTLV-1抗体検査が行われているため現在ではほとんどみられません。

性交による夫婦間感染は、発症するケースが少ないため特別な対策は必要ないと考えられています。

また成人T細胞性白血病の患者さんやHTLV-1のキャリアと生活をともにしても、日常生活で感染することはまずありません。

監修

寺下医学事務所医学博士

寺下謙三

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