B細胞型悪性リンパ腫びーさいぼうがたあくせいりんぱしゅ
最終編集日:2021/12/21
概要
白血球の一種であるリンパ球ががん化して増殖し、おもにリンパ組織に腫瘤をつくる病気です。形態や性質によって細かく分類される悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別されます。非ホジキンリンパ腫は、さらにB細胞リンパ腫とT/NK細胞リンパ腫に分けられます。
B細胞型悪性リンパ腫は、リンパ球のなかのBリンパ球ががん化する病気です。進行速度によって、年単位で進行する「低悪性度」、月単位で進行する「中悪性度」、週単位で進行する「高悪性度」に分類されます。
B細胞型悪性リンパ腫には、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫 、バーキットリンパ腫ほか多くの種類があります。
原因
B細胞型悪性リンパ腫の原因はよくわかっていません。
一部のリンパ腫は、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)などのウイルス感染が原因と考えられています。ほかにもピロリ菌などの細菌、関節リウマチなどの自己免疫疾患、さまざまな薬剤や化学物質との接触なども原因ではないかと考えられていますが、まだ明らかにはなっていません。
症状
おもに首、わき、足の付け根などリンパ節のある部位に痛みのないしこりや腫れ、圧迫感などが現れます。
全身症状として、長くつづく発熱、寝汗、原因のはっきりしない体重減少、倦怠感などが現れることがあり、これら全身症状を“B症状”と呼ぶことがあります。一方、それらの全身症状がない場合は“A症状”と分類されます。
進行すると腫れやしこりが増大、拡張して、気道閉塞や血流障害、各部位の麻痺などが起こることがあります。
検査・診断
B細胞型悪性リンパ腫が疑われる場合には、血液検査の後にX線検査、CT検査、MRI検査、PET検査などの画像検査を行います。
確定診断には腫瘍の一部を採取して調べる生検を行います。生検によって、悪性リンパ腫か、悪性リンパ腫であればどの種類のものかなどがわかります。
治療
進行度によって治療方法が異なりますが、抗がん剤を使った化学療法がおもな治療法です。近年は、複数の抗がん剤を組み合わせて行う多剤併用療法、分子標的薬を使った治療が一定の効果を上げています。病態や進行度に合わせて放射線療法が併用されることもあります。
こうした治療で効果が十分にみられない場合は、造血幹細胞移植が検討されるケースも増えています。
セルフケア
病後
B細胞型悪性リンパ腫を含む悪性リンパ腫の治療には、違う部位に発生する二次がんや不妊症、臓器障害、骨粗鬆症などを併発するリスクがあります。治療が終わっても定期的に医師の診察を受け、必要な検査は積極的に行うことが大切です。
予防
通常は、首、わき、足の付け根などリンパ節のある部位のしこりや腫れに気づいて医療機関を受診し、診断されるケースが多くみられます。
ほかのがん同様、とくにセルフケアの方法はありません。バランスのよい食事と適度な運動、規則正しい生活など、健康的な生活スタイルの維持が予防につながります。
監修
寺下医学事務所医学博士
寺下謙三
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