食道裂孔ヘルニア

しょくどうれっこうへるにあ

最終編集日:2022/4/4

概要

横隔膜には、食道を通すための穴があいていて、それを食道裂孔といいます。この穴が何らかの理由で緩み、そこに腹圧が上がることによって、いつもは横隔膜よりも下にある胃の一部がこの穴を抜けて胸のほうに入りこんでしまう状態が食道裂孔ヘルニアで、滑脱型、傍食道型、混合型に分類されます。

加齢などが原因とされるものと、先天性のものがあり、比較的、中高年の女性に多い病気とされています。

原因

加齢などの理由で緩んだ食道裂孔に、腹圧が上がって胃が押し上げられてしまうことが原因です。なかには生まれつき食道裂孔が緩く、ヘルニアを起こしやすい人もいますが、それほど多くはありません。腹圧がかかる原因としては、肥満や妊婦のほか、喫煙や腹水、気管支ぜんそくのせきなどが考えられます。

(左)正常な胃と(右)食道裂孔ヘルニア
(左)正常な胃と食道。(右)食道裂孔ヘルニア

症状

症状が出ない場合が多いのですが、胃酸や胆汁が食道に逆流するため、胸やけやげっぷなどが現れることがあります。また、前述した型によっても出る症状が違います。


●滑脱型ヘルニア

食道が閉じにくい状態のため、胃の内容物や胃液が食道に逆流します。胸やけや胃酸が口やのどまで逆流してくるのを自覚することもあります。ヘルニアが小さい場合は無症状のケースも少なくありません。食道裂孔ヘルニアでもっとも多いタイプが滑脱型です。


●混合型ヘルニア

混合型は滑脱型がさらに進行したものです。逆流もさらにひどくなり、胃の圧迫や、血流悪化によって痛みを感じたり、胃潰瘍を起こすケースもあります。


●傍食道型ヘルニア

通常、胃酸や胃内容物の逆流はありません。みぞおちの辺りの痛みや、食べ物を飲み込みにくいと感じることがあります。

食道裂孔ヘルニアで最も多くみられる滑脱型(内視鏡画像)
食道裂孔ヘルニアでもっとも多くみられる滑脱型(内視鏡画像)

検査・診断

食道裂孔ヘルニアはほぼ無症状のため、健康診断などで偶然見つかるケースが多いです。何らかの自覚症状があって受診した場合は、胃食道X線検査、内視鏡検査などの画像検査があります。

これらの検査によって食道の様子を確認すると同時に、逆流性食道炎などについても診断します。


治療

食道裂孔ヘルニアが見つかっても、すべてに治療が必要なわけではありません。自覚症状がなく、とくに滑脱型の小さなヘルニアを発症しているだけならば経過観察で様子をみます。また、逆流性食道炎などが認められる場合には、胃酸の逆流を抑えるための薬による治療を行います。

それでも状況が改善されない場合や、ヘルニアが大きい場合には手術になります。手術では、胸部に押し上げられた胃を正しい位置に戻し、広がった食道裂孔を小さくします。手術の方法は開腹手術ではなく、腹に小さな穴を開ける腹腔鏡での手術を行うケースが多いです。腹腔鏡手術は、開腹手術に比べてからだへの負担が少ないのが特徴です。いずれの場合も医師と相談しながら治療方法を決めて行きます。


セルフケア

予防

食道裂孔ヘルニアの予防は、腹圧を上げないようにすることです。そのためにまずは肥満に気をつけましょう。暴飲・暴食、揚げ物など高脂肪食はできるだけ避けましょう。食後はすぐ横にならない、適度な運動をする、ベルトなどで腹を締めつけないなど、生活習慣を見直すことも大事です。

また、逆流性食道炎の症状がある場合、それを放置するとし食道に潰瘍ができたり、食道がんへ進行したりすることもあります。早めに医療機関で受診するようにしましょう。


監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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