病気のサイン? げっぷが続く原因と対策
最終編集日:2025/5/26
げっぷは、胃や食道の空気が口に向けて逆流する生理現象の一つです。
私たちは会話や食事によって無意識に空気を飲み込んでいます。その空気が胃にたまると、胃と食道をつなぐ下食道括約筋という筋肉が緩み、空気が胃から食道、口へと上がって、げっぷが出ます。げっぷは誰にでも起こる現象で、それ自体は問題ありませんが、げっぷが頻繁に出るなど、注意が必要な場合があります。
●「げっぷ障害」の原因と対処法
「げっぷ障害」とは、日常生活に支障をきたすほど頻繁にげっぷが出る状態を指します。げっぷが多くなる原因には、早食い、悪い姿勢などの生活習慣、加齢による下食道括約筋の低下のほか、ストレスも関係しています。また最近、大阪公立大学の研究で、満腹まで食べることや、咀嚼回数が極端に少なくても多くても、げっぷ障害に影響するということが発表されました。
また、頻繁なげっぷはQOL(生活の質)の低下にもつながります。げっぷ障害を防ぐために有効なのは、食事など生活習慣の見直しや、ストレスの軽減です。食事では、胃への負担を減らすようゆっくり食べ、脂肪や糖分の多い食事を控え、食べすぎないようにします。食後は動かず30分ほど休憩し、胃腸の消化機能を高めるようにします。また、前かがみの姿勢は腹圧を高めてげっぷが出やすくなるので、背すじを伸ばしたよい姿勢が重要です。さらに、ストレスをためないよう、自分なりのストレス解消法を見つけて実行することが大切です。
●病気のサインのケースも
頻繁なげっぷには、病気が隠れていることがあります。代表的なのは、機能性ディスペプシアと胃食道逆流(逆流性食道炎)など消化管疾患です。
機能性ディスペプシアは、内視鏡検査で胃潰瘍や胃がん、胃炎といった異常がないにもかかわらず、痛みやもたれなど胃の不調が続く病気です。ストレスによる自律神経の乱れが原因と考えられ、胃の運動機能や知覚機能の障害により、げっぷが出やすくなります。
胃食道逆流は、胃の内容物が食道に逆流することで食道に炎症が起こる病気です。胃から空気だけでなく、胃液や胃酸も逆流することから、げっぷが出やすくなります。げっぷのほかに、胸焼けや酸っぱいものがこみ上げてくるのも特徴です。
また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、食道がん、胃不全麻痺(胃から小腸への内容物の異動が遅くなる胃の運動障害)の症状として、げっぷが出ていることもあります。
●気になったら消化器内科を受診
げっぷが頻繁に出て煩わしいと感じる、さらに生活に支障が生じている場合は、消化器内科を受診しましょう。また、げっぷ以外にも、嘔吐や出血、食欲不振、下痢や便秘、体重減少などの症状を伴う場合は、何かしらの病気である可能性が高いので、速やかに医療機関を受診して検査をする必要があります。
監修
かなまち慈優クリニック 理事長
高山哲朗