春に流行…ヒトメタニューモウイルス感染症
最終編集日:2025/3/31
ヒトメタニューモウイルス感染症は、ヒトメタニューモウイルスが呼吸器に感染して起こる病気です。感染者のくしゃみや咳などを吸い込んだり(飛沫感染)、ウイルスのついた手指でドアノブを触ったりすること(接触感染)で感染します。日本では、3月から5月頃にかけて流行します。2024年末頃より中国で感染が拡大しているため、日本への影響が心配されていますが、WHO(世界保健機関)によると、北半球で流行しているヒトメタニューモウイルス感染症を含む呼吸器感染症の感染者は増えているものの、予想の範囲内としており、パンデミックが起こっているわけではありません
●ヒトメタニューモウイルス感染症の症状
ヒトメタニューモウイルスに感染すると、4~6日ほどで、のどの痛み、咳、発熱、鼻水など、かぜに似た症状が現れます。重症化すると症状が気管支や肺にまで及び、細気管支炎や肺炎、喘息に似た喘鳴(呼吸時にゼーゼーと音がすること)、呼吸困難を引き起こすことがあります。免疫機能が未熟な乳幼児や、免疫機能が低下している高齢者は、特に重症化しやすいので注意が必要です。
●ヒトメタニューモウイルス感染症の治療
ヒトメタニューモウイルス感染症には特効薬がないため、治療は対症療法が基本となります。症状によって咳には咳止め薬、発熱には解熱薬、脱水には点滴などが必要に応じて用いられます。十分に休養をとってからだを安静に保ち、水分や栄養の補給に努めることで、多くは1週間ほどで症状が改善します。
●セルフケア
ヒトメタニューモウイルス感染症を防ぐためのセルフケアは、外出時にはマスクを着用、帰宅したらうがい・手洗いや手指消毒をしっかり行うことが大切です。また、こまめに部屋の換気を行いましょう。
※2025年3月17日時点の内容です。
監修
川崎医科大学 小児科学 特任教授
中野貴司