注目のバイオ後続薬「バイオシミラー」とは?

最終編集日:2025/1/20

バイオシミラーとは、国内で既に新薬として承認・販売されているバイオ医薬品(バイオテクノロジー応用医薬品)の特許が切れた後、他の製薬会社から販売される医薬品のことをいいます。

バイオ医薬品は、遺伝子組み換えや細胞培養などのバイオテクノロジーの技術により、生物の力を利用してつくられるたんぱく質(ホルモン、酵素、抗体など)を有効成分としています。現在では、糖尿病、がん、腎性貧血、関節リウマチ乾癬、炎症性腸疾患、骨粗鬆症加齢黄斑変性症などの病気の治療に使われており、具体的には、糖尿病治療薬のインスリン製剤や、がん治療で使われる抗体医薬品などがあります。バイオシミラーは、先行バイオ医薬品と同じように、こうした病気の治療に使うことが可能です。


●ジェネリック医薬品とどう違う?

バイオシミラーは、後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは異なります。ジェネリック医薬品の有効成分は主に低分子化合物であり、その化学構造は先発医薬品と同じです。一方、バイオ医薬品の有効成分であるたんぱく質は、アミノ酸配列は同じであっても、翻訳後の糖鎖修飾などを受けるので、培養条件などのさまざまな要因で分子に多様性が生じます。この違いが有効性・安全性に影響しない範囲に収まるように、製造は厳密に管理されています。このことは、先行バイオ医薬品、バイオシミラーともに同じです。

バイオシミラーについては、先行バイオ医薬品との同等性/同質性が、非臨床試験や臨床試験における比較データに基づいて科学的に判断されています。解析された品質特性に何らかの差異があったとしても、最終製品の臨床的な有効性・安全性に違いがないことが検証されて承認されています。ついては、薬事承認上の制度は異なりますが、ジェネリック医薬品と同様に、バイオシミラーも安心して使用できます。


●先行バイオ医薬品と同等の有効性で低価格

バイオシミラーは、先行バイオ医薬品と同等/同質の品質・有効性・安全性を有しています。また、その薬価も先行バイオ医薬品の約70%程度になるため、患者や保険者にとって経済的負担の軽減につながることが期待されています。

国全体としても増え続ける医療費の対策として、バイオシミラーの認知度向上と使用促進が積極的に行われています。厚生労働省では、バイオシミラーが保険収載された先行バイオ医薬品の成分品目について、2029年度末までに、バイオシミラーが80%以上を占める成分数が全体の成分数の60%以上になることを目指しています。


監修

浜松医科大学 教授 /浜松医科大学医学部附属病院 薬剤部長

川上純一

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