もう生理痛を我慢しない! 月経困難症の対策法

最終編集日:2024/11/18

月経困難症は、月経のたびに日常生活に支障を来すほどの強い生理痛(月経痛)が起こる病気で、主な症状に下腹部痛、腰痛、吐き気、頭痛、疲労感、下痢、イライラ、憂うつなどがあります。


●機能性と器質性の2タイプがある

機能性月経困難症は、子宮や腸管などが過剰に収縮することによって痛みが起こります。月経困難症の多くはこのタイプです。子宮や卵巣が未熟な若い女性に多く、成熟とともに症状が治まっていくことが多いです。ただし、生活に支障を来す痛みがある場合は、治療が必要になります。

器質性月経困難症は、子宮内膜症子宮腺筋症子宮筋腫など、子宮や卵巣の病気が原因で起こります。月経の期間中、強い痛みが続きます。自然に治ることは少なく、原因に対する治療が必要です。


●月経困難症の治療

月経困難症の患者数は、推定で約900万人。しかし、治療を受けている人は、その10%にも満たないといわれています。日常生活に支障を来しているのにもかかわらず、そのまま放置すると、原因となっている病気が進行したり、若い女性の場合は不妊につながったりする危険もあります。強い生理痛は我慢せず、婦人科を受診して、適切な治療を行うようにしましょう。

月経困難症の治療の基本は薬物療法です。痛みを和らげるために、まず鎮痛薬や漢方薬が使われます。鎮痛薬として非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)などが使用されたり、子宮収縮抑制薬、漢方薬が使用されたりします。これらの薬で症状が改善されないときは、低用量経口避妊薬(ピル)※や黄体ホルモン製剤を使います。さらに重症の場合は、GnRHアナログという月経を止める薬が検討されます。

※低用量経口避妊薬(ピル)は、避妊のみを目的とするのであれば自費となりますが、月経困難症治療薬として保険診療で処方可能な製剤(低用量エストロゲンプロゲスチン配合薬(LEP:low-dose estrogen progestin))があります。婦人科で相談してください。


●女性の8割が生理痛を我慢

月経中に症状が現れる月経困難症、月経前に症状が現れる月経前症候群(PMS)などを我慢して出勤している女性は8割以上に上り、そのほとんどが仕事に支障があると感じているといいます。このような女性特有の健康課題の経済損失は約3.4兆円であると経済産業省から公表されました。現在、国や企業で、女性の健康課題に対するさまざまな取り組みが行われています。



監修

千葉大学医学部付属病院 産科・婦人科 特任教授

齊藤佳子

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