認知症薬、ドナネマブとレカネマブの違い

男性/60代
2025/02/26

認知症薬のドナネマブとレカネマブの違いは何ですか? 効果は変わりますか?

この質問への回答

相生山ほのぼのメモリークリニック 院長  日本認知症学会 専門医・指導医/日本老年精神医学会 専門医・指導医 松永慎史

「ドナネマブ」と「レカネマブ」は、認知症の原因で最も多いアルツハイマー病の治療に用いられる抗アミロイド抗体薬です。アルツハイマー病の原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、脳にアミロイドβというたんぱく質が蓄積することで、脳の神経細胞が破壊されることが原因の一つとして考えられています。

抗アミロイド抗体薬は、アミロイドβに働きかける薬です。2023年に「レカネマブ」(商品名:レケンビ)、2024年に「ドナネマブ」(商品名:ケサンラ点滴静注液)が厚生労働省から承認されました。どちらも治療対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度認知症の人です。

ドナネマブとレカネマブの違いは、結合するアミロイドβの凝集体(集まったかたまり)の種類にあります。レカネマブは、主にアミロイドβが凝集してアミロイドβプラークになる過程のプロトフィリルに作用するのに対して、ドナネマブはアミロイドβプラークに作用します。


治療の効果は、残念ながらアルツハイマー病を完治するものではなく、どちらの薬剤も、あくまで約22~27%程度進行を遅らせるもので、薬剤間に大きな差はありません。副作用としては、どちらの薬剤も脳に微小出血や浮腫が見られることがあり、定期的なMRI検査が必要です。


また、治療の頻度に違いがあります。ドナネマブの場合、投与は4週に1回の点滴静注(約30分)ですが、レカネマブの投与は2週間に1回の点滴静注(約1時間)です。なお、投与期間はどちらも原則1年半です。


 ※2025年2月17日時点の内容です。


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