耳垢栓塞じこうせんそく
最終編集日:2023/2/24
概要
耳垢栓塞とは、耳垢(耳あか)が大量にたまって塊となり、耳の穴(外耳道)が狭くなったり、詰まってしまう状態をいいます。
耳垢は、外耳道にある分泌腺から生じた分泌物や、ほこり、古くなって剥がれ落ちた外耳道の皮膚などが混ざったもので、外耳道や鼓膜を弱酸性に保ち、保護する働きがあります。通常、耳垢は自然に耳の外へと排出されていきますが、耳掃除の際に誤って耳垢を奥まで押し込んでしまい、耳垢が大量にたまり硬くなると、簡単に除去することができなくなって、外耳道の狭窄・閉鎖をひきおこします。
原因
通常、外耳道の皮膚には、老廃物を外耳道入口部へと押し出す自浄作用があり、それによって異物や細菌などの侵入を防いでいます。
耳垢栓塞は、この自浄作用がうまく機能しなかったり、耳掃除の際に誤って耳垢を耳の奥に押し込んでしまったりして、外耳道に耳垢が過剰にたまってしまうことで起こります。このほか、入浴や水泳などで耳に水が入って、たまっていた耳垢が膨張して外耳道を塞いでしまうこともあります。
耳垢には湿性耳垢と乾性耳垢の2つのタイプがあり、粘着性が強い湿性耳垢は、耳垢栓塞になりやすい傾向があります。また、補聴器を付けていると耳垢がたまりやすくなるので、補聴器を使用している高齢者は注意が必要です。
ほかの病気により耳垢栓塞が起こるケースでは、外耳道に生じた脂漏性湿疹(脂漏性皮膚炎)による過剰な皮膚の落屑(らくせつ)が外耳道に蓄積したり、外耳道の入口付近に、骨腫やいぼができて耳垢の排出が阻害されるなどが原因となることがあります。
症状
耳が詰まった感じや、音が聞こえにくいといった症状が生じることがありますが、無症状であることがほとんどです。また、入浴や水泳で耳に水が入って耳垢が膨張すると、急激な耳の痛みや難聴をひきおこすこともあります。
なお、耳垢によって完全に外耳道が塞がれた場合は、5~40dB(デシベル)程度の音に対して難聴を起こすといわれています。聴力が低下している高齢者の場合は、気がつかないうちに耳垢栓塞による難聴が起こっていることがあります。
検査・診断
耳垢栓塞は、耳鏡検査で直接耳のなかを診察するだけで診断することができます。
治療
治療は耳垢を除去することが基本です。除去方法は外耳道や栓塞の状態によって異なりますが、耳鏡や診察用顕微鏡で観察しながら、吸引管や耳用鉗子(かんし)、異物鈎(いぶつこう)といった特殊な器具を使って除去します。耳垢が硬く固まっていたり、強く付着していたりする場合は、耳垢水を数日間、点耳し、軟らかくしてから取り除くことがあります。
セルフケア
予防
耳垢が気になり頻繁に耳かきをする人は、耳垢栓塞になる危険があります。耳垢は、元来自然と耳の外へ排出されるようにできており、頻繁に耳掃除をする必要はありません。少量の耳垢なら、皮膚のローテーション機能で自然と外に出るものです。耳かきを行う場合は2週間~1カ月に1度くらいで十分です。またその際、市販の綿棒や金属の耳かきを使うことはおすすめできません。市販の綿棒は太すぎるため、耳垢を奥に押し込んでしまうことが多く、注意が必要です。昔から使われている竹の耳かきのほうが安全で確実です。
監修
耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニック 院長
大河原大次
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