先天性耳瘻孔

せんてんせいじろうこう

最終編集日:2023/2/24

概要

耳たぶなどを含む耳介といわれる部分に小さい穴(孔)ができる生まれつきの耳の形態異常です。耳は、胎児のときに複数の組織が結合して形成されますが、一部で結合不全が起こると先天性耳瘻孔が発生します。

100人に1人ぐらいの割合で発症し、家族内での発生や遺伝性があるともいわれています。穴のように見えますが、多くは皮膚が入り込んでいる袋状の構造になっています。通常、外耳道に向かって数㎜から1~2㎝程度の深さで閉じていますが、まれに軟骨を貫いて外耳道までつながっていることもあります。

症状がなければ、とくに治療を必要としませんが、穴のなかは汗や分泌物がたまりやすいため、感染を起こして腫れや痛みなどが起こった場合は治療が必要となります。

原因

耳が形成される胎児のときに、耳になる複数の組織がうまく結合しないことで、すきまが生じて起こります。両親に先天性耳瘻孔がある場合は、子どもにも起こる可能性が高く、遺伝的要因があるのではともいわれています。

症状

耳前部と耳輪前部に多く生じ、耳輪部、耳垂部、耳後部にできる場合もあります。また、片側だけでなく、両側に発生することもあります。穴があるだけでは無症状です。穴の内側にある皮膚にも皮脂腺や汗腺が存在するため、たまった汗や剥がれ落ちた角質などが白い分泌液となって外に出てくることがあります。

ただし、細菌に感染すると、穴の周りが赤く腫れたり、うみが出たりして、痛みやかゆみなどが生じます。こうした感染をくり返すと、穴の周囲がただれて硬くなり、瘢痕化(はんこんか:患部が盛り上がり傷痕のようになる)することがあります。

先天性耳瘻孔
先天性耳瘻孔

検査・診断

視診や触診で、穴とその周囲の炎症の状態などを確認します。加えて、問診で症状と過去の感染歴や、家族歴の有無などもあわせて確認します。

感染が起こっている場合は、病原体を特定するために、分泌物やうみを採取して培養検査を行うことがあります。耳瘻孔以外に形態異常を伴っていないか、聴力検査を行う場合もあります。

治療

無症状であれば治療は必要ありません。細菌などに感染して炎症を起こしているときは、抗生剤や消炎鎮痛剤などを使います。腫れが強くうみがたまっている場合は、切開してうみを出すことがあります。何度も感染をくり返す場合は、手術で耳瘻孔を周囲の組織ごと摘出することも検討されます。

セルフケア

予防

先天性耳瘻孔は予防することはできませんが、細菌感染の予防はできます。穴の部分に細菌感染が起きた場合は痛みが出ますが、できるだけ触れないようにします。とくに、夏は汗をかくことで細菌が増殖しやすい環境になるため、皮膚や穴の周りを清潔に保つことが大切です。

監修

耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニック 院長

大河原大次

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