硬膜下血腫

こうまくかけっしゅ

最終編集日:2022/4/1

概要

硬膜下血腫は、頭を打ったことが元で、頭蓋内で出血し、頭蓋骨の内側にある硬膜と脳との間に血腫(血の塊)ができて、脳を圧迫している状態を指します。発症の時期によって、急性か慢性に区別されます。急性は強い頭部外傷により、受傷直後から痛みや意識障害などの症状が急激に現れます。一方、慢性は比較的軽い頭部外傷後2週間から3カ月程度にわたってゆっくりと血液がたまり、血腫が大きくなると症状が生じます(慢性硬膜下血腫は、転倒しやすくなる高齢者に比較的多くみられます)。

原因

急性の場合は、交通事故や高所からの落下などによって、頭を強く打ちつけることがおもな原因です。一方、慢性の場合は、比較的軽い頭部外傷によるもので、つまずいて軽く頭をぶつけた程度でも発症することがあります。頭部外傷以外では、アルコールを多量に飲む人や血圧をサラサラにする薬の服用者、動脈硬化のある人などは発症しやすいと考えられています。

症状

急性硬膜下血腫は、多くの場合は受傷直後から意識障害がみられます。しかし、脳血管のみが傷つき、脳自体の損傷がない場合、発症当初は意識がしっかりしているものの、徐々に意識障害が起きる場合もあります。

慢性では、頭部を打った直後はとくに問題がなく、2週間から3カ月後くらいに徐々に症状が現れ始めます。当初は居眠りが増えたり、元気がなくなったりなどの症状がみられることが多く、しだいにふらつきや、片側の手足の麻痺やしびれ、頭痛、ろれつが回らない、物忘れ、失禁などがみられます。意識障害を起こすこともあります。

原因となった打撲を忘れているケースもまれではなく、高齢者の場合は認知症と間違われないように注意が必要です。慢性硬膜下血腫による認知障害は、治療により回復させることができるため「治せる認知症」といわれるもののひとつです。


検査・診断

硬膜下血腫は、頭部CT検査やMRI検査による画像で診断します。硬膜下血腫は脳の表面に広がるのが特徴で、CT画像では脳の表面に白い三日月形の血腫(血が濃い場合は白色、長く経過していたり、髄液と混ざっていると黒、黒白混合)がみられます。

治療

急性では、重傷で頭痛、吐き気や意識障害、出血量が増量しつづけている場合などには、救命のため、全身麻酔による緊急手術を行います。頭蓋骨を外して、脳を圧迫する血腫を除去し、あわせて骨折した頭蓋骨の整復や脳損傷の有無の確認なども行います。

慢性では、血腫が小さい場合は自然に治癒することもありますが、通常は局所麻酔による手術を行います。手術は30分程度で、頭蓋骨に直径約1cmの小さい穴を開けて細い管を挿入し、血腫を除去します(さらに洗浄し、短期間のドレーン留置をすることも)。

予後は良好なことが多く、術後ほとんどの場合、症状が改善していきます。高齢などの理由で手術が行えない場合は経過観察を行い、漢方薬や浸透圧利尿薬などによる治療を行うこともあります。


セルフケア

病後

硬膜下血腫は、急性で術後に後遺症が残ってしまった場合には、早期からリハビリテーションを開始します。また、慢性の場合は、発症者のうち、約1割が治療後に再発するといわれます。とくに高齢者や、血腫が大量にたまっていた場合にリスクが高まるため、手術後も定期的にCT検査などを受けることが大切です。

予防

慢性硬膜下血腫は、軽い頭部外傷が発症の原因となることが多く、さらに、高齢者や飲酒習慣のある人、腎臓の機能が落ちている人、血液をサラサラにする抗凝固薬や抗血小板薬を内服している人は、発症のリスクが上がります。日常生活で転倒して頭を打たないように気をつけましょう。

監修

昭和大学医学部 脳神経外科 名誉教授

藤本司

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