硬膜外血腫

こうまくがいけっしゅ

最終編集日:2022/4/6

概要

硬膜外血腫は急性硬膜外血腫ともいい、頭部を強打することで脳を覆う硬膜から出血し、硬膜と頭蓋骨とのすきまに血液がたまった状態を指します。頭蓋骨の骨折を伴うことが多く、重傷になると命にかかわるため、緊急手術が必要になります。頭部外傷の1~3%、致命的頭部外傷の5~15%を占めるといわれ、活動的な10~30歳の若年層や、転倒が多い65歳以上の高齢者を中心に起こります。

原因

高所や階段からの転落や、交通事故などによって頭部を強打したことが原因となり、多くの場合に頭蓋骨の骨折を伴います。頭蓋骨と脳の間には硬膜、くも膜、軟膜の3枚の膜があり、硬膜はもっとも外側にあります。硬膜には表面側に隆起した硬膜動脈と硬膜静脈が走っているため、頭蓋骨を骨折すると、数時間以内に、骨折部位に接した硬膜の血管が切れて出血し、硬膜外血腫が生じます。

症状

頭部を強く打ったときは、そのまま意識障害になる場合が多くみられます。ところが硬膜外血腫では、直後は症状がないか、一瞬意識を失っても普通の状態に戻り、その後急激に悪化して意識レベルが低下することがあります。これは硬膜外血腫特有のもので、症状が出現する前の意識がはっきりしている時期を意識清明期といい、通常、数時間以内のことが多いようです。

検査・診断

硬膜外血腫は、通常は頭部CT検査による画像検査により診断します。血腫がある場合、頭部CT検査では白く写ります。同様に写るものに急性硬膜下血腫がありますが、硬膜下血腫が三日月形に見えるのに対して、硬膜外血腫ではラグビーボールや円盤のような(凸レンズ)形に見えるという違いがあります。

脳の圧迫が強くなると、画像上は脳の変形が強まり、脳ヘルニアの状態になります。硬膜外出血の診断となった場合、出血量や出血範囲が増大する速度を確認するため、1日に何度も頭部CT検査を行うこともあり、入院が必要となります。


治療

症状が軽い場合は、入院して経過観察となり、病変に注意しながら、症状にあわせた対症療法が施されます。

意識障害など深刻な症状がみられ、緊急を要する場合は、血腫を取り除く開頭手術が選択されます。早期に血腫を取り除ければ術後は良好ですが、脳の障害の程度によっては、神経症状などが残る場合もあります。

セルフケア

療養中

経過観察中に頭蓋内の血腫はほとんどの場合、自然に吸収されていきます。一部のケースでは、受傷後に遅れて慢性硬膜下血腫が出現してくることがあるので、注意して経過をみることが必要です。

病後

手術しても後遺症が残った場合には、機能の回復をめざして早期からリハビリテーションを開始します。その後、リハビリテーション病院などへ転院、または自宅から通院することになります。また、手術を行った場合でも、慢性硬膜下血腫が発生してくることがあるので、定期的な経過観察が重要になります。

監修

昭和大学医学部 脳神経外科 名誉教授

藤本司

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