脊髄損傷

せきずいそんしょう

最終編集日:2022/4/1

概要

脊髄損傷とは、脊椎に衝撃が加わって脱臼・骨折することにより、脊髄が傷ついている状態です。脊髄は数多くの神経が集まっている組織で、脳のつづきとして脊椎がつくる脊柱管のなかを臀部まで延びています。脊髄からの脊髄神経がからだの各所の神経とつながっているため、損傷した部位によっては手足の麻痺などが生じ、日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。

脊髄損傷のもっとも多い原因は自動車事故ですが、高齢者では転倒によるものが多くなります。とくに骨粗しょう症などの場合は脊椎がもろくなりやすく、脊髄損傷のリスクが高くなってしまいます。


原因

脊髄損傷の原因は交通事故がもっとも多く、約半数を占めています。ほかにも衝突、転倒、高い場所からの転落、落下物の下敷きになるなどの外傷や、転倒、スポーツでのけがによるものがよくみられます。

脊髄は首から臀部へ、頸髄、胸髄、腰髄、仙髄の4つに分けられています(この区分けは頸椎と同じです)。頸髄の損傷は交通事故やスポーツなどにおけるけがが多く、胸髄や腰髄、仙髄では高所からの落下によるものが多くなります。

ほかにも、頸椎症や後縦靭帯骨化症、骨粗しょう症などが原因で脊髄損傷が起きる場合があります。


症状

脊髄損傷の症状は、損傷を負った部分の脊髄が関連する神経の領域により異なり、運動や感覚に関する障害が生じます。手足が麻痺して動かない、あるいは手足の痛みや触れられている感触がなくなるなどの症状がみられます。なかでも、頸髄を損傷した場合は上肢と下肢の両方に、胸髄、腰髄、仙髄の場合は下肢に障害が現れることが多くなります。

麻痺は損傷の程度により、脊髄の機能が完全に失われた完全麻痺と、脊髄の機能が一部残っている状態の不全麻痺の2つに分類されます。不全麻痺は軽度であれば、ある程度からだを動かすことができますが、しびれが起きたり、呼吸や排泄に支障が生じたりすることもあります。


検査・診断

脊髄損傷の検査では、損傷が起きた場所を特定するために、CT検査やMRI検査、X線検査などの画像診断を行い、脊椎や脊髄の状態を詳しく調べます。

画像診断のなかでもCT検査やMRI検査は手術が行える状態かの確認や、手術方法を選択するために有用です。

麻痺や感覚障害のあるからだの部位や程度の差、反射障害の有無や程度など、詳細な状態を調べるために、高位診断や横断位診断と呼ばれる検査も行います。これらの検査結果と組み合わせることで、総合的に判断して診断されます。


治療

脊髄損傷の治療では、損傷を負ってからできるだけ早く治療を開始することが重要です。治療までに時間がかかると、麻痺や感覚障害の程度に違いが生じてしまうためです。応急処置では、損傷された脊椎を動かさないように注意し、四肢が動かない頸髄損傷は、頭部と体幹を固定して病院へ搬送します。

治療では、ギプスなどの装具で脊椎を固定する、手術や薬により脊髄を圧迫している原因(血腫やむくみ)を取り除くことなどが行われます。排尿のトレーニングや、筋力を高めて関節の可動域を広げるためのリハビリテーションも行います。


セルフケア

病後

脊髄損傷で麻痺が残った場合には、生活の質を向上させるために積極的にリハビリテーションを行うことが大切です。

予防

加齢ととともに女性に増加する骨粗鬆症は、転倒による脊髄損傷の原因ともなっています。骨粗しょう症は骨密度の検査によって発見・治療できます。定期的に検査を受け、骨密度を正常に保つことで、脊髄損傷のリスクを減らすようにしましょう。

監修

昭和大学医学部 脳神経外科 名誉教授

藤本司

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