深部静脈血栓症しんぶじょうみゃくけっせんしょう
最終編集日:2022/1/11
概要
下肢の深部にある深在静脈で炎症が起こり、おもに太もも、ひざなどの下肢に発症します。深部静脈血栓症は、重症化しやすく、エコノミークラス症候群として肺塞栓症をひきおこすこともある病気です。治療は、抗凝固療法や血栓溶解療法、カテーテルによるフィルターの留置などが行われます。
原因
下肢の奥深くにある静脈に炎症が起こり、血栓が生じます。長時間、同じ姿勢でいる(長時間の飛行機搭乗やデスクワークなど)、骨折時のギプス固定や麻痺などで長時間足を動かせない、悪性腫瘍の治療中といった環境下では、深部静脈血栓症の発症リスクが高まります。
症状
下肢の急激なむくみ、痛みや熱感、発赤などが現れます。うっ血が進むと、皮膚や粘膜が紫色になるチアノーゼとともに強い痛みが現れる場合があり、その時点で適切な治療を行わないと、その後も慢性的なむくみや下肢の倦怠感、静脈瘤などの静脈血栓後症候群に悩まされることになります。また、血栓が心臓を介して肺動脈に入り込むと肺塞栓症をひきおこし、命にかかわる場合もあります。
検査・診断
血液検査によるD-dimer 測定、超音波検査や造影CT検査といった画像検査をもとに診断されます。
治療
症状をみながら必要に応じて、抗凝固療法、血栓溶解療法、カテーテル治療、外科療法、下大静脈フィルター留置術といった治療法から選ばれます。
セルフケア
療養中
すでに深部静脈血栓症を発症している場合、ふくらはぎのマッサージによって脚部にとどまっていた血栓が肺などに流れるのを促してしまうことがあるため、絶対に行わないようにしましょう。
病後
ほかの病気で手術を受けた場合、術後は血液中の凝固因子が増加し、血液が固まりやすい状態にあります。ベッドに横になったままの状態がつづくと深部静脈血栓症を発症する危険があるため、何とか工夫をしてできるだけ寝たままの状態を避けるようにしましょう。
予防
長時間同じ姿勢でいたり、運動量が極端に少なくなると発症するリスクが高くなります。長距離移動の際や長時間同じ姿勢で作業する際は、時間を決めて、手足を伸ばしたり、トイレに行ったりするなどしましょう。また、肥満や高齢の方は、散歩程度でもいいので、日常的に運動して足の筋肉を使うよう心がけましょう。
ふくらはぎが腫れている、痛い、だるいなどの症状がある場合は深部静脈血栓症を発症している可能性があります。自己判断でのマッサージは危険ですので、控えましょう。
監修
小田原循環器病院 循環器内科院長
杉薫
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