特発性器質化肺炎とくはつせいきしつかはいえん
最終編集日:2022/1/11
概要
一般的に予後が悪いと考えられている間質性肺炎のなかで、唯一ステロイド治療に反応して予後が良い間質性肺炎です。原因はわかっていませんが、肺の間質や肺胞の壁に炎症が起こり、さらに肉芽組織で細い気道や肺胞が塞がり、進行すると線維化が進んでしまう病気です。
40~60歳代に多く発症し、男女の割合は同じくらいです。ただほかの肺の病気と違って、喫煙によって発症リスクが高まることはないと考えられています。
原因
原因はわかっていません。ただ、何らかの原因物質を吸入したことにより、線維芽細胞と呼ばれる細胞が活性化して、フィブリンという線維状たんぱく質が多くつくられ、それが吸収されないことで組織の線維化が進み、発症するのではないかといわれています。
症状
比較的短期間のうちにせきや息切れ、持久力の低下といった症状が現れます。発熱やだるさなどかぜのような症状、体重減少や疲労感などがみられることもあります。治療を行わないと半年から数年をかけて悪化していきます。

検査・診断
胸部CT検査の所見で、複数箇所に淡い陰影が出現する場合が多いのが特徴です。気管支内視鏡で気管支肺胞洗浄や肺生検を行い、肺の細胞や組織を顕微鏡で調べることにより、診断が確定することもあります。
特発性器質化肺炎では聴診器で間質性肺炎に特徴的とされる雑音は聞こえないのが特徴です。軽症の場合には自覚症状が認められないこともあります。
治療
ステロイド薬の効果が高く、治療に使われます。多くのケースで短期間に治癒しますが、再発の可能性が比較的高く、その場合には長期的な治療が必要になることもあります。
セルフケア
療養中
ステロイド薬の服用中は免疫力の低下から感染症にかかりやすくなるので、うがい、手洗い、マスク着用を徹底し、感染予防を心がけてください。
監修
千葉大学病院 呼吸器内科特任教授
巽浩一郎