肝斑
かんぱん

最終編集日:2025/2/3

概要

顔の頬の部分を中心に左右対称に現れる、褐色の色素斑(シミ)を肝斑といいます。

30~40歳代の女性に好発します。自然に治癒することは少ないのですが、閉経後は色が薄くなってわかりにくくなる傾向にあります。


原因

メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)やエストロゲン、プロゲステロンの分泌が促進されてメラニンが過剰に産生されることや、真皮の炎症などが原因として考えられています。過剰になったメラニンは皮膚に沈着して、色素斑となります。

紫外線、妊娠、薬剤(経口避妊薬)、自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病慢性甲状腺炎など)などがリスク因子として挙げられます。妊娠中の人の肝斑を「妊娠性肝斑」と呼ぶこともあります。


症状

痛みやかゆみのない褐色のシミが、顔(頬、額、鼻周辺、上唇、こめかみなど)に、多くは左右対称に現れます。通常、まぶたにはみられません。片側性のものや顔面以外に出現するものはまれです。

皮疹はほくろやそばかすと異なり、輪郭がはっきりしないのが特徴です。

このような皮疹に気づいたら、皮膚科を受診します。


検査・診断

特徴的な皮疹で診断がつけられます。診断がつきにくい場合に、ウッドランプ検査(ブラックライトという紫外線を当てて詳細にみる)が行われることもあります。

日光黒子(老人性色素斑)、そばかす、炎症後色素沈着、後天性両側性太田母斑様色素斑などと見分けることが必要ですが、肝斑とこれらの皮疹が混在することもあります。


治療

肝斑の治療は、保険適用外となるケースが多いため、治療を受ける前に確認しましょう。


●薬物療法……メラニンの生成を抑えるビタミン剤(ビタミンC、Eなど)、トラネキサム酸の内服、ハイドロキノン含有の美白剤の外用などが用いられます。


●薬物療法に追加して選択される治療法……薬の内服や外用に加えて、レーザートーニング(レーザー治療)、イオン導入(微弱な電気を流して薬剤を皮膚の深い部分に浸透させる)などを行う場合があります。レーザー治療は症状を悪化させる場合もあるため、医師の間でも適応について意見が分かれています。

また、生活のなかで紫外線を浴びないよう防御することも大切です。

肝斑の治療は時間が必要で、効果がわかるまで数カ月かかることもあります。


セルフケア

療養中

肝斑の悪化の防止には、紫外線を避けることが重要です。外出時には日傘を使用する、帽子やサングラスを着用する、サンスクリーン剤を用いる、紫外線の強い時間帯を避けるなどを心がけましょう。日差しの強い夏場だけではなく、一年を通して注意することが大切です。

また、できるだけ触らないようにして、外部から皮膚に刺激を与えないことも重症化予防につながります。洗顔やメイクのときにごしごしこするのは避けましょう。

予防

悪化の防止と同様に、紫外線を避けることが重要です。外出時には日傘を使用する、帽子やサングラスを着用する、サンスクリーン剤を用いる、紫外線の強い時間帯を避けるなどを心がけましょう。日差しの強い夏場だけではなく、一年を通して注意することが大切です。



監修

関東中央病院 皮膚科 部長

鑑 慎司

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