麻疹(はしか)のワクチン接種を受けるには?

最終編集日:2023/7/10

新型コロナウイルスの流行中は激減していた麻疹ですが、海外との往来が復活したことによって麻疹ウイルスが国内に持ち込まれ、流行の兆しをみせています。免疫のない人はワクチン接種を検討しましょう。


●最も有効な麻疹予防策は2回のワクチン接種

麻疹は感染力が極めて強く、飛沫感染、接触感染だけでなく空気感染もあるため、マスクや手洗いだけでは予防できません。しかも免疫を持たない人が感染するとほぼ100%発症します。一方で、一度、麻疹に感染すると免疫がつき、再び感染することはありません。これと同等の免疫を獲得できる方法がワクチン接種です。1回のワクチン接種で約95%の人は免疫がつきますが、残り5%の人は免疫がつかずに発症の恐れがあるため、確実に免疫をつけるには2回の接種が必要です。


●2回接種していない人はかかりつけ医などに相談を

2000年4月2日以降に生まれた人は、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種(1期1歳児、2期小学校入学前1年間の幼児)が定期接種(定められた期間内は無料)になっていて積極的に勧奨されています。しかし、それ以前に生まれた人の場合は、2008〜2012年度の5年間は特例措置(中学校1年生と高校3年生相当の人)があったものの「1回も接種したことがない」あるいは「1回だけ接種した」という人がいます。このような人で麻疹にかかったことがない場合は、かかりつけ医や最寄りの医療機関に相談してぜひ接種を受けたいものです。2000年4月2日以降に生まれた人で2回接種をしそびれている場合も、同様です。

ワクチン接種歴や麻疹の罹患歴がわからないという人もいるかもしれません。仮に「実は接種歴や罹患歴があったのに、さらにワクチンを接種してしまった」としても特に問題はないとされているので、思い悩んでいるよりも、かかりつけ医などに相談しましょう。

なお、未接種の人が麻疹の患者さんと接触した場合、72時間以内にワクチンを接種すれば、麻疹の発症を予防できる可能性があります。しかし、確実に予防するには早めに接種を受けておくのがいちばんです。


●麻疹風疹混合ワクチンと麻疹の単独ワクチンがある

麻疹風疹混合ワクチンのほか、麻疹だけの単独ワクチンもあります。確実に風疹にかかったことがある(検査で風疹の感染が確認された)、または風疹のワクチンを2回接種している場合は、麻疹の単独ワクチンも考えられるので、かかりつけ医などに相談しましょう。

定期接種の期間外に受ける接種は任意接種となり、費用は原則として自己負担です。1回分の費用の目安は、麻疹風疹混合ワクチンが約1万円、麻疹の単独ワクチンが約6000円です。


※2023年7月10日時点の内容です。

監修

帝京大学ちば総合医療センター 小児科

菱木はるか

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