胃カメラ検査の受け方・選び方

最終編集日:2025/8/18

「胃カメラ」と聞くと、「苦しそう」「できれば避けたい…」と感じる人も多いことでしょう。しかし、胃カメラ検査は日本人に多い胃がんの早期発見に役立つ、有効な検査のひとつです。

胃カメラ検査の種類や受け方について知り、自身に合った検査法を選んでストレスや不安を減らしましょう。


●胃カメラ検査とは

正式には「上部消化管内視鏡検査」といい、鼻または口から内視鏡(スコープ)を挿入し、食道・胃・十二指腸の状態をリアルタイムで観察・記録する検査です。

胃カメラ検査の最も重要な目的は、がんの早期発見。食道がん・胃がん・十二指腸がんのほか、胃炎・胃潰瘍逆流性食道炎などの診断にも役立ちます。検査中にポリープや赤みなどの異常が見つかった場合、その場で組織を採取し、病理検査に回すことも可能です。


●「鼻」と「口」のどちらを選ぶ?

胃カメラには、鼻から挿入する「経鼻内視鏡」と、口から挿入する「経口内視鏡」の2種類があります。

それぞれの特徴は以下のとおりです。

【経鼻内視鏡】

・のどの奥を通らないため、咽頭反射(オエっとなる反応)が起こりにくい

・検査中は会話が可能で、心拍数や血圧の変動が少なめ

・鼻腔が狭い人には不向きな場合もあり、痛みや鼻血を伴うこともある

【経口内視鏡】

・画質や操作性に優れ、より詳細な観察が可能

・大きな病変の切除にも対応できる

・咽頭反射が起きやすく、検査中に会話はできない

・鎮静剤を使用して眠ったような状態で検査を受けられる場合もある

どちらの場合も、事前に鼻やのどに麻酔を行ってから検査が実施されます。また、食道や胃など、消化管の粘膜の表面には、痛みを感じる神経が通っていないため、内視鏡が通過するときや、組織を採取するときに強い痛みを感じることはほとんどありません。

「胃カメラはつらい」と言われる主な原因は、咽頭反射にあります。これは人によって強さが異なるため、不安のある人は経鼻内視鏡や鎮静剤の使用について、医師と相談してみましょう。


●検査を受ける前後の注意点

※検査機関や受ける時間等によって異なる場合があるので、事前に説明書などでよく確認してください。

【検査前】

・前日の夜9時以降は絶食、当日は朝食をとらずに検査を受ける

・夕食は消化の良いものを早めにすませておく

・少量の水分は摂取可能(牛乳、スープ、コーヒーなど色の着いた水分は不可)

・服薬がある人は事前に医療機関に確認を

【検査中】

・肩や首に力が入りやすいため、深呼吸してリラックスを心がける

・目を閉じるとのどの違和感に意識が集中しやすいため、目を開けて遠くを見る

・唾液は自然に口の外に出してOK

【検査後】

・検査後1時間ほど経過したら飲食が可能

・まずは少量の水で違和感がないか確認し、消化にやさしい食事から

・病理検査のため、組織の採取を行った場合は、2時間ほどあけてから食事を。また、アルコールや刺激の強い食べ物(辛いもの、脂っこいものなど)は1〜2日控えると安心


胃カメラ検査は、医療機器の進歩により、以前よりも楽に、自分に合った方法で検査を受けやすくなっています。

不安がある場合は医師や医療機関に相談しながら、自分にとって負担の少ない方法を選ぶようにしましょう。



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監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居 明