ステロイド外用薬は危険?
最終編集日:2023/5/1
メディアなどを通じた「ステロイド外用薬」についての誤った情報などにより、ステロイドに対する誤解が後を絶ちません。「ステロイドは怖い」「使うのは何となく不安」と思っている人も多いことでしょう。とはいえ、ステロイドがどのような薬なのか、意外と知られていないものです。薬について正しく知り、医師や薬剤師の指示のもと、上手に使っていきましょう。
●ステロイドってどんな薬?
ステロイドは、副腎という臓器から作られる「副腎皮質ホルモン」がもつ作用を応用して作った薬です。本来、からだで作られるホルモンを薬として使用することは不思議に思えるかもしれませんが、からだの炎症を抑えたり、免疫を抑制したりする作用があります。塗り薬(外用薬)だけでなく、飲み薬(内服薬)や注射薬としても使われます。
●ステロイドの強さって?
私たちに一番身近なステロイドは、皮膚に塗る外用薬です。
皮膚炎や湿疹などで皮膚科を受診すると、ステロイド外用薬を処方されますが、作用の強さに応じて5つの段階に分類されています。
①もっとも強い、②とても強い、③強い、④普通、⑤弱い、の5つがあり、また、皮膚の部位に応じて吸収率が異なるため、患部とその状況に合わせて、適切な強さのステロイド外用薬が処方されているのです。
●なぜ怖いといわれる?
ステロイドはとても有効な薬です。本来、自分を守るはずの免疫が、自分自身を攻撃してしまう「自己免疫疾患」では、ステロイドなくしては十分な治療を行うことができません。その一方で、どのような薬にも望ましい効果だけでなく、望ましくない効果があります。これを「副作用」と呼び、ステロイドには次のような副作用があることから、怖いといった印象があるのだと考えられます。
〈局所副作用〉※外用薬の場合
ステロイドを塗った場所の皮膚が薄くなる・皮膚が萎縮する・血管が浮き出て見える、にきびができる、多毛になる、細菌・真菌・ウイルスなどの皮膚感染症にかかりやすくなる、など
※感染症にかかりやすくなる、骨粗しょう症、糖尿病、精神症状といった「全身副作用」が外用薬で出ることはまずありません。
●正しく使えば怖くない!
誤解されがちなステロイドは、正しく使えば不必要に怖がる薬ではありません。医師から伝えられた正しい塗り方、使用量、使用期間を守り、適切に使用することが大切です。自身の判断で、別の部位や他の人へ使い回すことをしないように気をつけましょう。
一部のステロイド外用薬は、薬剤師のいる薬局で購入することもできます。市販薬を使用するときは、用法用量を守り、不安なことがあれば薬剤師に相談しましょう。よくならない場合は、使用を中止して医療機関を受診してください。
監修
ひふのクリニック人形町 院長
上出 良一
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