心的トラウマ体験とPTSDの対処法

最終編集日:2025/3/17

自然災害、人為災害、戦争や犯罪、大切な人の死など、命の危機や心理的に強い衝撃に直面した人の多くが「心的トラウマ(外傷)」を体験します。また、その体験によって精神的な不調を来すことを「トラウマ反応」と呼びます。トラウマ反応は一時的なもので、時間とともに症状は軽減しますが、トラウマ体験による心身のダメージが強いと「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」という精神的な後遺症を発症することもあります。


●PTSDの症状と診断

PTSDの主な症状には、つらい記憶が突然フラッシュバックしてしまう「再体験症状」、衝撃を受けた場所や人を避けたり、トラウマの原因となった記憶を忘れたりする「回避症状」、否定的な考えになったり、興味や関心を失ったりする「認知や気分の陰性変化」、緊張状態が続いて睡眠障害になったり、怒りっぽくなったりする「過覚醒症状」の4つが見られます。また、心の病気を生じやすくなり、身体的にも頭痛やめまい、動悸、食欲不振、慢性的な疲労感が現れたり、社会的に孤立しやすくなったりします。

こうした症状がある場合は、精神科や心療内科のある医療機関を受診してください。心的トラウマを経験し、上記のような症状が1カ月以上続いて生活に支障を来している場合は、PTSDに該当すると診断されます。


●PTSDの治療法とセルフケア

PTSDの治療は、心理療法や薬物療法が行われます。心理療法は、トラウマに関連する思考や行動を修正していく「認知行動療法」を基本として、最近ではEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)などのトラウマのための療法が開発されています。薬物療法では、抗うつ薬、抗不安薬などが用いられます。多くの場合、専門医のもとで適切な治療を行えば、PTSDの症状は改善します。

またセルフケアとして、深呼吸や瞑想、ストレッチなどで心身をリラックスさせて不安をやわらげたり、同じ体験を持つ人との交流も症状の改善につながります。


●周囲の理解と接し方

PTSDの人に対しては、本人の気持ちに寄り添うことが大切です。相手の話をよく聞いて共感し、否定的なことを言わないようにすることが重要です。専門医や専門家のサポートを受けながら、焦らずに見守りましょう。


監修

赤坂溜池クリニック 院長

降矢英成

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