Question

自然災害で被災後、気持ちにぽっかり穴が……

自然災害で被災しました。被害そのものは大したことはなかったのですが、近所の後片付けなどやるべきことがあり、当初は頑張っていました。ひと段落したところで、何となく空しさが感じられるように。なぜ自分だけがこんなに苦しい思いをしなければならないのかと考えるようになりました。これから先、気持ちをどのようにもっていけばよいのでしょうか?

女性/50代

2021/12/21

Answer

自然災害の被害に遭われたとのこと、心よりお見舞いを申し上げます。ご自身が受けた被害そのものは大したことはないということですが、ふだん経験する範囲を超えた急激で衝撃的な出来事を経験したり、見聞きすると「トラウマストレス反応」を起こすことが珍しくありません。この反応は、自分では抱え切れないような出来事を乗り越えようとする心理的な心の働きでもあります。


からだに衝撃が与えられれば負傷するように、衝撃的な出来事のために感情的・精神的にショックを感じるのは正常な反応です。ときには、からだに影響が出ることもあります。トラウマとなるような事柄を経験した後は、不安、頼りなさ、悲しみ、怒り、罪悪感などの感情的な反応がみられることがあります。また、頭痛や食欲不振、落ち着きのなさ、ぼんやりする、眠れない、緊張・混乱など、さまざまな心身の症状や行動の変化が出てくることもあります。


ご相談者が「何となく空しさを感じる」「なぜ自分だけが苦しい思いをしなければならないのか」と考えることは、このような状況のなかではきわめて正常な反応です。また、これにどう対処するかは、今後の人生に影響を与えていくこともあるので、今の時点でできることを考えましょう。

効果的な対処法としては「孤立しない」「安心して話のできる人に自分がどう感じているかを話す」「隠さない」「ほかの人からの心配や思いやりを受け入れる」「信頼できる人を頼る」「何もできない自分を責めない」などが挙げられます。


激しい感情やからだの症状がコントロールできないと感じたり、1カ月以上経ってもからだの症状が消えない、ストレス反応と思われるものが消えないと感じたときは、カウンセラーなど専門家のサポートを求めましょう。これから気持ちをどうもっていけばよいのかを考えることは、被災という現実に対処しながら未来を考えることになります。とてもエネルギーのいることなので、1人で抱えずにトラウマストレス反応の知識をもつ専門家の力を借りましょう。

なお、お住まいの行政機関で、被災後のメンタルサポートの窓口が設けられていることもあります。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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