心が折れないための「認知行動療法」とは?

最終編集日:2025/2/10

「認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy/CBT)」とは、認知(物事を捉える考えやイメージ)に働きかけて、気持ちを楽にする精神療法の一つです。

強いストレスや不安を抱えていると、悲観的になるなど、物事の受け止め方に偏り(認知のゆがみ)が生じやすくなります。すると、日常のさまざまな判断や問題に対して、うまく適応・解決できない心の状態になったりします。認知行動療法では、このような心を解きほぐして、問題に対処していけるようサポートしていきます。

認知行動療法は、アメリカのペンシルバニア大学のアーロン・T・ベック教授がうつ病の精神療法として始めたものですが、うつ病以外にもパニック症強迫症、不眠症、摂食症など、多くの精神疾患に効果があることが確認されています。また最近では、認知行動療法の考え方が、ビジネスや教育、スポーツなど、さまざまな領域でとり入れられているといいます。


●認知を修正して感情を穏やかに

認知行動療法では、具体的に認知と行動にアプローチする「認知再構成法」「行動活性化」などの方法を用います。自ら認知のゆがみに気付かせることで、自身で物事の捉え方や考え方の偏りを修正します。

・認知再構成法

気持ちが滅入ったり、不安に押しつぶされたりしそうなときに、頭に浮かんだ心のつぶやきに着目。自分の思考のパターンを見つけて、問題となる考えの修正作業を行っていきます。具体的には、コラム表(自分の思考を記録するワークシート)に書き出すことを行います。

・行動活性化

自分の行動パターンを変えて気持ちを変えることで、ネガティブな考えを修正します。毎日の行動と、そのときの気分を記録し、気分がよくなる行動を増やし、避けていた行動を積極的に行うようにします。


認知行動療法は、精神科医など専門家のもとで行うものですが、セルフケアとして心の緊張や不安を緩和させる呼吸法などを行うのもよいでしょう。


監修

精神科医、内海メンタルクリニック名誉院長

井上和臣

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