Question

くり返す尿失禁と頻尿に悩んでいる

ここ最近、急な尿意を我慢できないようになったうえ、就寝中もトイレに起きる回数が増えてよく眠れません。これは「過活動膀胱」でしょうか? また、こうした尿トラブルにはノコギリヤシがよいと聞き、サプリメントを飲み始めましたが、改善を期待することはできますか?

男性/60代

2022/12/17

Answer

個人差はあるものの、膀胱に200〜300mLの尿がたまると尿意をもよおします。また、泌尿器系などに何らかの問題があると、尿量に関係なく膀胱の筋肉が収縮し、少量でも尿意を感じてしまうこともあります。

一方で、自分の意志に反して尿がもれてしまう症状を「尿失禁」といいます。尿失禁により生活の質が損なわれるだけでなく、精神的に大きな負担となることはいうまでもないでしょう。この尿失禁はいくつかのタイプに分けられ、尿意を感じるとすぐトイレに行きたくなる切迫尿意感があるものの、間に合わずにもらしてしまうタイプは「切迫性尿失禁」に分類されています。これは尿がある程度たまり、膀胱が勝手に反応することで起きると考えられています。


また、1日8回以上トイレに行くような状態を「頻尿」と呼びますが、切迫性尿失禁の場合、頻尿や一晩に何回もトイレに起きる夜間頻尿を伴うことも珍しくありません。こうした頻尿や尿意を我慢できない原因には「過活動膀胱」などの泌尿器科系の問題が考えられるほか、残尿感や不快感といった症状があれば膀胱が感染を起こしている可能性もあります。

さらに、尿路結石や前立腺肥大症(男性のみ)が関係している場合や、ごくまれに脳の変化による発症もありますが、原因が明らかではないことも多いです。

このように尿失禁や頻尿の原因はさまざまですが、目安として、1日8回以上トイレに行く、1回の尿量が少ない、残尿感や不快感が続く、症状の悪化もしくは改善がみられない場合には、泌尿器科の受診をおすすめします。


ちなみに切迫性尿失禁の場合、尿意をもよおしても少しの間トイレに行くことを我慢する「膀胱訓練」が有効ですが、自己判断が難しい場合もあるため、医師の指導のもとで正しく行うことが大切です。


続いて、サプリメントによる症状の改善についてです。サプリメントは食品の延長線上に位置づけられているため、効果を期待できるか否かはお伝えできません。ノコギリヤシは前立腺肥大症の症状改善に役立つという情報もあるものの、今回はまだ原因がわかっていないことからも、まずは医療機関への相談が治療の第一歩と考えます。


頻尿を引き起こす原因は生活習慣のなかにもあります。病気や心因性、習慣性の要素、水分のとりすぎ、エアコンなどによる冷えやストレスなど膀胱への刺激がその代表的なものです。また、水分のとり方、汗の量、気温などにも影響されるといわれています。なかでもカフェインを多く含む飲み物には利尿作用があるため、コーヒー、紅茶、緑茶などの飲みすぎや、刺激物となる飲酒習慣がある場合には見直すことも必要です。夕方以降はこうしたカフェインやアルコールの摂取を控え、寝る前にコップ1杯程度の水分を補給する程度にとどめるようにしましょう。


2〜3日ほど、昼間と夜間に分けて排尿時刻と排尿量を記録し、尿量を把握する方法もおすすめです。1日の排尿量が1500mL以上あれば、水分摂取量を減らすことである程度の改善が見込めるかと思います。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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