脳膿瘍のうのうよう
最終編集日:2022/1/11
概要
脳膿瘍は、血流や頭部の外傷などにより脳のなかに侵入した細菌や真菌などによって炎症が起こり、うみがたまる病気です。脳内は、通常は無菌状態に保たれていますが、細菌が繁殖して脳の組織が炎症を起こし、うみがたまると、さまざまな症状が現れます。進行してうみが髄液に流れ込むと、急性髄膜炎を発症することもあります。
ただし、脳膿瘍はまれな病気です。
原因
脳膿瘍の原因となる病原体としては、連鎖(レンサ)球菌、黄色ブドウ球菌、結核菌などの細菌のほか、真菌、トキソプラズマ原虫などがあります。
これらの病原体が鼻や耳、歯などで感染症をひきおこし、それが血流などに乗って脳内に広がるケースや、頭部の外傷時に菌が脳に入り込むケースなどがあります。ただし、菌による感染ではない、原因がわからないケースもあります。
症状
膿瘍の大きさやできる場所、炎症の具合などによって、現れる症状やその強さは異なります。症状は数日から数週間かけて現れます。
おもな症状には頭痛、吐き気、けいれん、運動失調、言語障害、異常な眠気などがあります。
検査・診断
脳膿瘍では、CT検査やMRI検査などの画像診断が有効です。また血液検査や髄液検査が行われることもあります。
さらに、原因病原体を特定するため、膿瘍に針を刺してうみを採取し、細菌を特定する検査を行うこともあります。
治療
薬を使った治療と手術がおもな治療法です。
薬を使った治療では、セフォタキシムやセフトリアキソン、バンコマイシン、メトロニダゾールなどの抗菌薬が使われます。また、頭蓋内の圧を下げたり、脳のむくみを抑えるために利尿薬やステロイドが使われることもあります。
膿瘍が大きい場合や抗菌薬では効果が出ない場合は、手術が検討されます。
手術には、穿刺針を膿瘍まで入れて膿を吸引したり、ドレナージ(排液チューブによる処置・管理等)をする方法が一般的ですが、開頭手術によって、事前に小さくした膿瘍全体を摘出することもあります。
セルフケア
予防
鼻や耳、歯などで起きた炎症が脳膿瘍の発症にかかわるため、それらの病気にかかり、治療したのにその後も頭痛や吐き気などが治まらない場合は、注意しましょう。脳膿瘍はまれに発症する病気ですが、後遺症が残ることもあるので、早めに医師に相談することです。
監修
昭和大学医学部脳神経外科 名誉教授
藤本司
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