脊髄炎せきずいえん
最終編集日:2022/1/11
概要
背骨の中にある脊髄が炎症する病気で、横断性脊髄炎と呼ばれることもあります。
脊髄は神経の束であるため、脊髄炎になると運動や感覚機能に支障が出て、手足の麻痺、感覚障害などが生じます。さらに進行すると、排尿や排泄に障害をきたすことも少なくありません。
脊髄炎には、視神経に同時に障害が起こる視神経脊髄炎(多発性硬化症)などもあります。
原因
はっきりした原因は解明されていません。ウイルス感染や細菌感染、薬剤などにより、細菌やウイルスからからだを守る免疫機能が阻害されたことで起こるのではないかと考えられています。
ほかにも脊髄にある血管への血液不足、はしかや梅毒などの合併症が要因となることもあります。
症状
炎症が起こる場所によって症状が変わります。基本的な症状は、背中の痛み、足のしびれ、腹部の痛み、発症した部位の周辺のこわばりなどです。
急速に顔面や運動機能の麻痺、排尿・排便の異常、尿閉など重度な症状へ進行することも多くあります。
視神経脊髄炎の場合は、これらの症状に加えて、視力が低下したり、視野が欠けたりします。
検査・診断
腰から針を刺して脊髄液を採取する髄液検査、炎症の状態などを調べるMRI検査、炎症の原因となる感染症、神経疾患、自己免疫疾患があるかどうかを調べる血液検査などから診断します。
すでに発症している場合、髄液検査で細胞の数やたんぱく質の濃度に軽度の上昇がみられます。視神経脊髄炎が疑われる場合は、視野検査や視力検査も行います。
治療
ウイルスが要因の場合は抗ウイルス薬を接種し、細菌感染の場合は抗菌薬(抗生物質)を使用するなど、その原因に応じた根治療法で対処します。
原因となるのが薬剤なら、その薬剤の使用を中止します。
治療開始直後の数週間は、炎症を抑えるためにコルチコステロイドを投与するほか、場合によっては血液透析や血漿(けっしょう)交換などで、血液の中にある炎症の原因となる物質を取り除きます。
セルフケア
病後
再発が懸念される病気のため、再発の危険因子とされる過労やストレス、感染などを可能な範囲で回避するように心がけましょう。また、麻痺や感覚異常がある場合は、改善させるためにリハビリテーションを受ける必要があります。
監修
昭和大学医学部脳神経外科 名誉教授
藤本司
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