レビー小体型認知症

れびーしょうたいがたにんちしょう

最終編集日:2023/6/2

概要

老年期に発症する認知症のひとつです。変性性(脳の神経細胞が原因不明の変性を起こし、減っている状態)の認知症としては、アルツハイマー型認知症、血管性認知症に次いで患者数が多く、この2つとともに「三大認知症」といわれています。

物を忘れるなどの認知症の症状のほか、幻覚が見えたり、手足の震えといったパーキンソン病のような症状が現れたりします。また、高齢者の認知症の10~30%がレビー小体型認知症です。ただし、患者さん本人に病気という認識はありません。

原因

「レビー小体」という特異なたんばく質が、大脳皮質をはじめとする中枢神経細胞にたまり、脳の神経細胞を徐々に壊していく進行性の病気です。レビー小体が出現する原因についてははっきりとは解明されていません。

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症状

おもな症状として認知機能障害が挙げられます。ただし、アルツハイマー型認知症と少し異なり、物忘れについては軽度ですが、認知機能のよいときと悪いときの差が激しくなります。また、実際には見えない人や物がはっきりと見える幻視の症状が現れます。この幻視が起こる点がほかの認知症にくらべて特徴的です。

手足の震えや筋肉の硬直といったパーキンソン病のような症状もみられ、浅い眠りのレム睡眠中に生々しい夢を見て、大声などを出すレム睡眠行動障害、便秘、頻尿や尿失禁といった自律神経症状、うつなどの精神症状がみられることもあります。ほかの認知症とくらべ、進行が速いのも特徴です。

検査・診断

問診で、認知機能障害があり、その発症の仕方にムラがあること、幻視症状があること、パーキンソン病のような症状が現れるかどうか、などを確認します。その後、認知機能を評価するスクリーニング検査が行われます。

このほか、幻視・錯視の症状があるかどうか判断するパレイドリアテスト、大脳全体に萎縮がないかどうかを確認する脳MRI検査、脳の血流をみるSPECT検査、心臓に分布する交感神経の機能を調べるMIBG心筋シンチグラフィ、ドパミントランスポーターを画像化するダットスキャン、脳波検査、血液検査などを行い、総合的に診断します。

治療

残念ながら、レビー小体を減少させるような根本的な治療法はありません。薬物治療や理学療法で症状を抑えるように対処します。

認知機能障害の進行や幻視の症状を抑制する治療では、アルツハイマー型認知症の治療のドネペジルやリバスチグミンといった薬を投与します。幻覚には、漢方薬の抑肝散(よくかんさん)、非定型抗精神病薬であるクエチアピンやオランザピンが有効です。

手足の震えや筋肉の硬直の症状には、パーキンソン病の治療で用いるレボドパに効果が期待できます。また、理学療法としては、ストレッチ、筋力強化、バランス訓練などを行います。

セルフケア

療養中

手の震えや筋肉硬直などの症状で転倒しやすくなっているため、周囲の家族などが注意を払う必要があります。また、患者さんが幻覚を訴えた場合は「否定せず・肯定せず」の気持ちを保ちながら、本人の訴えを理解し、受け入れることが大切です。幻視や錯視は、室内環境を整えることで減らすこともできます。影をつくらないように照明を調整する、模様つきの壁紙を無地にする、壁に洋服をかけない、などの工夫をしてみるとよいでしょう。

予防

認知症予防には、適度な運動をすることがよいとされています。週2回以上、ウォーキングやプールでの水中ウォーキング、水泳をすることなどを心がけてください。栄養バランスのよい食事を摂取するほか、趣味を楽しむなど生きがいをもつことも大切です。

また、同居中の家族などが早い段階で気づくと、症状の進行を遅らせやすくなります。幻覚などのレビー小体型認知症を疑わせるような症状が確認できたら、専門医の受診をおすすめします。

監修

昭和大学 医学部脳神経外科 名誉教授

藤本司

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