アメーバ赤痢

あめーばせきり

最終編集日:2023/3/30

概要

寄生虫の一種である「赤痢アメーバ」という原虫がさまざまな臓器に感染することが原因で起こる病気です。患者さんの便とともに排出される嚢子(のうし、シスト)の経口摂取で感染するため、シストに汚染された水や食物でつくられた料理などが感染経路になることが多いとされています。また、口や肛門の接触を伴う性行為によっても感染します。熱帯、亜熱帯地域に多くみられ、日本では旅行者に感染が認められています。

原因

汚染された水や食物を不衛生な環境で摂取することや、肛門性交(アナルセックス)や口腔性交(オーラルセックス)などの性行為で感染します。

症状

アメーバ赤痢の症状は、ほとんど自覚のないものから重症例までさまざまです。感染した人の10~20%に症状がみられ「腸管病変」と「腸管外病変」に分けられます。


赤痢アメーバが大腸に感染する腸管病変の症状は、粘血便や排便時の下腹部痛などです。これらの症状の増悪と寛解を、数カ月から長い人は数年間にわたってくり返しますが、一般に全身状態は保たれ、発熱をきたすことはまれです。


腸管外病変で多いのは「アメーバ性肝膿瘍」です。成人男性に多くみられるこの肝膿瘍は、赤痢アメーバが腸粘膜のバリアを突破して門脈を介して肝臓にたどり着くことで起こります。38℃以上の高熱や、たんを伴うせき、胸の痛みなどが多くみられます。しかし、肝膿瘍のある部位によって症状は異なります。

このようなアメーバ性肝膿瘍は突然起こることが多く、また下痢などの消化器症状を認めないこともあるため、注意が必要です。また大部分は肝臓であるものの、脳や肺に病変をきたすこともあります。

検査・診断

便を採取し、顕微鏡で確認します。糞便検査で原虫が見られれば確定です。しかし、検査の検出感度が高くないので、3日間つづけて採取することもあります。

排便後できるだけ早く検体を提出し、顕微鏡で観察するほうが検出感度は高いといわれています。

大腸内視鏡検査も診断に有効で、盲腸や直腸に白いうみのような滲出物を伴う潰瘍病変が認められます。大腸内視鏡での組織生検や、腸液採取により、確定診断に至ることもあります。

また、アメーバ性肝膿瘍が疑われる場合は超音波(エコー)検査やCT検査も行われます。確定診断を得るために肝膿瘍に針を刺して検査することもあります。

治療

アメーバ赤痢を防ぐワクチンはありません。発症が確認された場合は、メトロニダゾールの服用が治療の中心となります。また、アメーバ性肝膿瘍の治療では、肝膿瘍に針を刺し、細い管を挿入してうみを吸引する方法(穿刺吸引ドレナージ法)が行われることもあります。

セルフケア

予防

流行する地域では、手洗いをこまめにし、生水や氷、生の魚介類を避けましょう。食事は十分に火の通ったものを食べるようにします。飲み物は氷の入っていないものを選び、フルーツはカットされたものではなく、できるだけ皮つきのものを入手し、自分で皮をむいて食べるのがおすすめです。


また先進国では、同性間の性的接触による感染が報告されています。粘血便などが持続的に認められる場合には、専門の医療機関を受診しましょう。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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