エキノコックス症えきのこっくすしょう
最終編集日:2023/3/29
概要
「エキノコックス」という寄生虫がおもに肝臓に寄生することで起こります。大半は、北半球で発生しており、国内ではおもに北海道と愛知県の知多半島に常在しており、年間20~30人程度の感染が確認されています。
原因
エキノコックスは親虫のときはキツネの小腸に寄生し、糞とともに卵が外に出ます。その卵を野ネズミが食べると野ネズミのからだのなかで卵がかえり、肝臓に寄生します。キツネが野ネズミを捕食すると、キツネの腸内で寄生虫が成虫になります。北海道ではキツネが主ですが、放し飼いの犬、また数は少ないものの、猫やタヌキなどが感染源となることもあります。
エキノコックスの卵に汚染された川や井戸の水を口にしたり、野山の山菜を食べること、感染したキツネや犬の体毛に触れることで、人間にも感染のリスクがあります。感染動物の糞便による経口感染が主体といえます。
症状
人が感染すると、多くの場合、肝臓で増殖します。無症状の「潜伏期」は5~20年と長く、その間にエキノコックスは肝臓などの臓器に寄生しつづけています。自覚症状が現れたときには、肝臓は寄生虫にむしばまれた状態になっています。
また、寄生虫は肝臓だけでなく、脳や肺、そのほかの臓器などに寄生することもあります。その後、肝機能障害などの症状がみられる「進行期」に進むと、肝機能障害に伴う疲れやすさ、わき腹の痛み、黄疸などがみられます。
検査・診断
エキノコックス症はおもに肝臓に障害を与える病気ですが、一般的な肝臓検査では発見がむずかしいのが現状です。しかし、エキノコックス症は症状が現れるまでに数年から十数年かかるので、早めに感染を知ることができれば、幼虫が大きくならないうちに対処ができます。
感染を調べるためには、まず血液検査でエキノコックスが体内に入ったときにつくられる抗体の有無を確認します。北海道ではこの検査を定期的に行っています。また、血液検査で陽性となった場合は、超音波(エコー)検査やX線検査で感染部位を特定します。
治療
薬物療法もありますが、進行した状態を根治させるには、手術で病巣部分を切除することになります。何よりも早期発見・早期治療が大切です。
セルフケア
予防
エキノコックスの卵は、地面や畑など、身近なところにあります。外から帰ってきたら、必ず丁寧に手を洗う習慣を身につけましょう。また、山菜や畑の野菜は流水で丁寧に洗い、できれば熱を加えてから食べます。野生のキツネには、エキノコックスが寄生しているものが多くいます。餌づけをしてキツネを呼び寄せたり、手で触ったりするのはやめましょう。また、ごみの管理が悪いとキツネや野良犬などが集まってしまうので、ごみの管理はきちんと行いましょう。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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